第31話 レガシー王子

教室に入れば、またシーンとなり、小さな声で

「おはようございます」

と言った。ライラ様、サリバン様がしばらく休学と発表された。

フリップ王子は少しだけ来て、お昼前に城に戻った。


生徒会室に行くといつものメンバーがいて、ずっと思ってたことがあった。三年生にはレイラ様がオーラが凄くて他2名で二年生メンバーは、確かに今はレガシー王子様がいるが、他3名で一年生はフリップ王子様とサリバン様他1名。確かに侯爵、伯爵貴族で高位貴族だけど、目立つようなオーラを放たない。お父様が花形と言うがどうなのだろう。

三年生が

「明日からレイラ嬢が学園に来るかもしれないよ」

「良かったねルイーゼ嬢、事件解決が早かったでしょう」

ともう一人の三年生メンバーが言った。

「はい、突然何が起きたか分からず、慌てて戻れば、父が帰っこなくて一人バタバタしていたんですが、大きな鳥が助けに来たんです」

と言えば、みんな

「鳥?」

と言う。

「はい、鳥がみんなの視線を引きつけてくれたおかげでお祖父様ともやり取りが出来ました。今回、あの場面が一番の事件解決のきっかけです」

と言えば、二年生メンバーも三年生メンバーもゲラゲラ笑った。それはお腹を抱えて。

「あのね、一応、僕達生徒会メンバーも王子に呼びつけられて不眠不休で働かされたんだけど、まさかバードがきっかけだったか。お見舞いのフリップじゃないんだ。これは面白い」

とソリオ様が言った。いつも無言なのに。

「すいません、皆様助けてくださっていたとは知らずに失礼しました」

「トルネス公爵がマリノティス伯爵の執事に何か渡したとか情報を掴んですぐ動いたんだけどな、まさかバードに負けたか」

えー!三年生メンバーまでそんなと、ペコペコお辞儀した。

そして窓を見ると、バードがいた。心配で見に来てくれたのかしら?

窓を開けて、フリップ王子様がやった様に腕をくの字に曲げて

「バード」

と呼ぶ。大きな羽を広げ旋回してから翼を折り畳みながらふわっと私の腕に止まった。

「バード、大好き」

と言うと、

「ヴルフゥー」

と答えてくれる。その様子を見てメンバー達が、

「大変だ、鳥使いが現れた。気難しいバードを手なづけるなんて信じられない」

「鳥使い」

と言われたところで、このバードの癒しがあれば鳥使い上等と思った。このぐらいのキャラの上乗せなら、謹んで私は、受けます。


存分にバードを愛でて、今日は終わった。この数日辛かった分癒してもらった。

明日は、レイラ様が学園に来るかもしれない。

レイラ様のことも解決出来れば良いと思った。しかし、レイラ様はそれから1週間学園には来なかった。


その間も証人を探した。

そして、フリップ王子様が進展具合を話した。

ガルバン共和国のティルス伯爵令息は、やはり事の成り行きを報告する為に学園にいたと話していて、特に何もしてないので、北部の難民とともにガルバン共和国に帰国、そして当然のようにマゼラン侯爵達一族は、ガルバン共和国を追い出され、今は、カトロ侯爵達と一緒に王城の牢にいるらしい。

トルネス公爵の話にのった理由は、自分達の地位向上でポストを用意すると言われたと話した。ガルバン共和国は知らないの一点張りで通している。


国対国は大変だ。

そう生徒会室で昼食を取りながらフリップ王子様がぼやいていた。

レガシー王子様が華麗に食事を取られている、すぐ近くでそんな話しなくても良いんじゃないかと、私は思っていたのをレガシー王子様に

「ルイーゼ嬢、眉間が寄ってますよ」

と注意された。

「失礼しました」

と言えば、フリップ王子様が笑っている。解せない。

何だろう、この気持ち。


たびたび、レイラ様とライラ様の争いの証言が出たがレイラ様が手を上げて、何故か倒れたところまで見たのに、間の部分を覚えている人がいない。

これはライラ様の魔法かもしれないと思った。この間に何があったのかは、二人、いやライラ様にしかわからないのかもしれない。


そしてさらに1か月経ち随分と寒くなってきた。図書室に通える回数も増えて、随分と、バード達鳥の生態に詳しくなった。

たまに一緒になるクリスティーナ様は、今は井戸の本を読んでる。

「ルイーゼ様、井戸を一番早くに普及させたのは、マリノティス伯爵だそうね。当時は大変だったのではない?」

とハスキーな声で聞かれた。

「変わり者扱いだったおかげで、私が助かりました」

と笑って言えば、

「何だそれ、答えになってないよ」

と笑った。そして手で初めて前髪を掻き上げた。

目が合った。初めて見た顔なのに、どこかで見たことあるとずっと思ってた。

彼とそっくり、いやこちらの方が体型、声を考えれば、本物だろうな。


「あなたが、レガシー王子様ですか?」

と何も考えずに、そのまま声に出て聞いていた。

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