蛟の沼

月猫

序章 村の掟

 鎮守の森の入り口に立つ石碑。

 石碑の文字は風化していて読めない。しかし、その内容は口伝で村に伝わっていた。


 蛟の沼に 近づいてはならぬ。

 蛟の沼の水を 飲んではならぬ。

 蛟の沼の魚を 捕ってはならぬ。

 蛟の沼の魚を 食べてはならぬ。

 

 この掟を破りし者、命を持って償うべし。


 この石碑がいつ建てられ、掟を破ると何が起きるのか、それを知る者はいない。村の長老たちは、口を揃えてこう云った。


「きっと、蛟さまのバチが当たるんだろう」と。


  


 

 

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