笑顔の君へ ~隣の席の孤高の女子高生への接し方~

奏流こころ

プロローグ 1

「それでは席替え始めて下さーい」


 ガタガタ、ゴトゴト…。


 机の上に逆さにして椅子を置き移動を始めた。

 席替えの方法はくじ引き。

 俺、宇城うき雅虎まさとらは窓側の1番後ろになった。


「ついに俺と虎は離ればなれかー!」

「ふざけんなし、はよ自分の席に行け」

「俺達は運命の糸でむっ…」

「はいはい、バカ野郎」


 去年同じクラスになった時に仲良くなった親友の磯辺いそべ拓郎たくろう

 坊主頭で背はやや低め。ムードメーカー的存在で、たまに頼りになるのがある意味天才。


「さてと」


 俺は窓側の1番後ろに着いた。

 ここで2学期を過ごすのか。

 椅子を机から降ろして、早速着席した。

 隣は誰だろうと右を見ると…おっ。


「よろしく」


 いつの間にか、女子生徒が俺の右隣にいた。

 眼鏡をかけていて、ボブヘアの髪型。

 小柄で目鼻立ちは整っている。


「よろしく」


 あっ、しゃべるんだこの子…。

 と思いつつ返した俺。

 彼女の名前は琴坂ことさかみやび

 初めて、挨拶だが、会話した。

 声は、言葉がハッキリとしていたからか綺麗で可愛らしかった。

 誰とも行動しない、孤高の女子生徒。

 何故だろう?

 まだ高2だぞ?

 高校生活で1番楽しいと言われる学年だぞ?

 高校生活を謳歌したいと思わないのか?

 勝手に疑問が沸々と浮かぶ。


「何ですか?」

「あっ、ごめん…」


 じっと琴坂の事を見ていたようだ。

 直ぐに前を向いた。

 むすっとしてるし。なんだかなぁ。

 チラッと横目でまた彼女を見ていた。


 本当はどんな子なんだろう…。

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