ヘマトフィリア② -恋の欲求から滲み出た狂気-


 自身の血を飲み続けるに連れ、その血の鉄の匂いが興奮を覚えるようになった。

だがそれは性的興奮というよりかは闘争心の昂ぶりだった。


 傷が出来ることで私は本能を刺激されたのだ。だがその本能は自身の欲求に忠実にさせ、だらけきった堕落した人間になった。そのまま小学時代を過ごした。


 本格的な狂気に気付いたのは高校の恋の後だった。


 その恋をした私の頭は自分の血による昂ぶりよりも強い興奮に閉じ込められた。

並の遊びよりも彼女といる方が楽しかった。だがその恋も終わり、独りで過ごす内にその反動なのか私は悍ましい程の狂気に捕らわれた。


 報われなかった恋に後悔して過ごしてる内に、私は気が付けば彼女の血を欲していたのだ。自身の血を排し、彼女の血を飲み、入れ変えたくなった。愛しい彼女を食い破り、流れ出る血をこの狂人は欲していたのだ。本能の昂ぶりがその傷心に染み込み狂う。


 自己嫌悪と愛情が歪んだそこに反映されてしまったのだ。


 この恥ずべき衝動を今はこうして書き記すことで抑えている。


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