仕事に悩み、恋に落ち、お互いのよさを知るとき、二人は絆を作る。

空上晴男(そらうえ・はれお)くんと春野まひる(はるの・まひる)さんの大人の社会人ラブストーリーです。

小説は、二人、交互に視点を変えて進んで行きます。

晴男くんは、アルファスと言うスーパーマーケットで正社員として働いていましたが、或る日、出社できませんでした。

目の前の現実から逃走してしまったのですね。

そうだ、ドイツへ行こうと、思い立ったように旅へ発つことになりました。

一方、まひるさんは、アルコールの出るお店のアルバイトで、あくせく働いています。

けれども、本当に何がしたいのかは、中々決まらないでいます。

品下陵(しなした・りょう)くんは、まひるさんの紹介されてお付き合いを始めた彼氏ですが、早速やらかしております。

私がコイツは殴ってもいい案件かと思いました。

彼は、かなり愚か者です。

少しうちの父に似ているので、残念感が高かったですね。

二人の出逢いは、ドイツへ行きたかった筈の晴男さんが、ある考えのもと目指していた所で、まひるさんを助けることになります。

所が、晴男くんは、こんな年若い子とは、自分は不釣り合いだと思っており、迷う前に、妹のような存在として当初は感じておりました。

まひるさんは、自分で決断するのが、何事においても特段になく、友人の声などで、決めて来た節があります。

晴男くんもその中の一人のようになってしまい、不思議な封筒事件や不思議なゴミ捨て事件が起きたときの相談相手になっていました。

これらのアイテムに通信アプリが役に立っております。

お互いにフルネームな所が、愛らしかったと思いました。

二人は、何かにつけて、連絡を取り合い、会ったりいたします。

中でも好きなシーンは、小さなキャンプで、笹舟を流す所です。

特にまひるさんのだと思うのですが、心模様が、浮いては沈み、流れに負けて当たったりと、その情景と心理描写がお見事でした。

また、特に好きな様子は、家庭のあり方です。

晴男くんの家族、まひるさんの家族、それぞれに異なっていても、その点もいいと思いました。

まひるさんのご家族が、朝に昼に夕にと名付けられたのでしょうか。

更には、本作品のお楽しみの一つは、更新された実際の日付と物語の中でのイベントがリンクしているときに、プロットをがんばったねと思います。

くすっと笑えた所は、ブランド名の伏字でもじったものですね。トコタとかです。

お食事風景も描写が素敵でした。

ラストは、ハッピーエンドですので、楽しみにできます。

ああ、二人で歩み出すのだと言う所に、まひるさんの背伸びと決意した晴男くんの姿が、今、光と共に瞼に浮かびます。

是非、ご一読ください。

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