第7話 6 従順なる子犬達



 朝は6時に起こされた。またしても、この施設の規則だ。6時30分に朝食である、と言うことを通達され、私はできる限り6時30分丁度に食堂へ入れるよう努力した。食堂へ入ると、二人ほど先客がいたが、私が入った後から、数人づつ子供達が入ってきた。おやつの時間と違い、食事の時間はしっかりと守られているようであった。


 子供達は、服装や髪型さえ違いがあるが、一様に同じ目をしていた。絶対なる服従。私には、そんな目をした子犬達がこの施設に集められているように思えた。


 子犬達は食事が終わると、それぞれの部屋に戻っていった。支援学校に行くための準備をしなければならないからだ。私も行く事になる支援学校だ。


 子犬達が支援学校へ行くと、私の部屋に一人の男が入ってきた。今度の男は、比較的若い部類に入る男で、髪の毛を短く切り揃え、全く笑わない真面目そうな男だった。


 その笑わない男は、淡々と学校へ行くための心構えを喋り続けた。心構えまで規則に従っているようだ。


 笑わない男が、私の部屋から出ていくと、私はベッドに座って暫く壁を見つめていたが、結局はベッドの布団の中に滑り込み、呟いた。


「ねぇ、どうして出て来てくれないの。僕、とても寂しいんだ。一人きりになっちゃたんだ」


 私はベッドの上で、ゆっくりと眠りに入っていった。

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