悪魔の住む森

織風 羊

第1話 序章



 この話は私が大人になるまでの過去の話だ。私は、そこで人では無いものに出会った。それも一人や二人ではなく、沢山の人では無い者達に。


 私は知的障害者では無い。人が喋っている言葉は理解できているつもりだ。ただ、土足で人の心に踏み込んでくる人の言葉は、聞こえてはいるが、ゆっくりと単なる音になっていき、私の心に届かなくなっていく。それは最早、言葉では無く、音に変化してしまうのだ。これは、私が幼い頃の経験がそうさせているのかもしれない。言い訳なのかもしれない。しかし、私が幼い頃に自分を保つために覚えた唯一つの方法なのだ。そして私は、どんどんと無口になっていき、友人といへば心の中に住む一人の少年だけになっていった。そんな私はといえば、中学校へ入る前に、両親は私を病院へ連れていき、病院の医者は、此処を紹介した。森の中の施設。

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