追悼17 事件経過のお浚

 「事件経過をまとめてみました。北勢中学1年の細河桜子は、コミュニケーションが苦手であり、心理的に追い込まれパニックに陥りやすいアスペルガー症候群を患っていた。桜子が読書をしていた公園は、素行の悪いと名高い中野美帆たちの溜まり場だった。桜子と美帆はそこで出会った。美帆の仲間に同じ中学の城井優斗と他の中学の高岳風馬がいた。桜子は、風馬にしつこくLINEでわいせつな画像や動画を要求され、要求に応じなければ周りに無視させるなどの脅しを受け、要求に応じてしまう。その頃には、教科書への落書きや言葉攻めのイジメはあった。その後、小学校の多目的トイレに連れていかれ、美帆の仲間とその取り巻きの小学生などの前で自慰行為を小学校の多目的トイレで強要され、動画を撮られる。桜子は、「死にたい、もう、嫌だ」と初めて母・静江に告白し、娘がイジメにあっていることを知る。静江は担任の須垣明歩に相談するも禄な調査はされず、イジメはないと結論付けられた。その後、十人程に囲まれた桜子は、動画を消して欲しいと懇願するが、風馬が死ぬ気もないのに死ぬなど言うなと桜子を結果的に追い込む形となり、自暴自棄になりウッペツ川に飛び込む。その直前に桜子は中学に連絡を入れ、教師は警察に通報。現場には、目撃者がいた。その証言から、女の子が十人ほどに囲まれ川に飛び込んだ。その後、助ける様子はなく、携帯で面白そうに撮影していたことが判明。警察は当初、母からの虐待を苦にして飛び込んだ、との美帆らの証言を信じたが、残されたLINEの動画と脅迫文言などからイジメていた当事者を特定した、というものですね」


 北大路弁護士は大筋を秘書の綾小路に確認した。


 「はい」

 「では、現状での罪状を上げるならば、わいせつな画像を送れと執拗に迫った高岳風馬、拡散した城井優斗については、強要罪・児童ポルノに関わる法令違反・児童ポルノの製造の法律違反などが該当します。しかし、彼らは14歳未満の触法少年であって処罰対象に該当せず。飛び込めと煽った行為は嫌疑不十分となり立件は見送られるでしょう」

 「触法少年ですか…。厳重注意が関の山ということですね」

 「今の法でそうなります、続けます」

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