僕と王様ゲーム②

「それじゃあ行くぞ」

「うん」

「よし来た」

「はぁ……仕方ないわね」

「うふふふふ……」


僕たちがゲームをするにあたって事前に決めたルールは主に二つ。

一つは、セクハラ行為の禁止。もう一つは、王様ゲームを基に男女交差を迫ることの禁止。

この両禁則事項に共通して言えることは、先輩と咲夜への牽制である。もしこの二つを許してしまうと咲夜と先輩は間違いなく僕に対してセクハラか交際を要求してくる。それは僕としても何としてでも避けたい事であるし、このゲームに参加してくれた敦と赤坂に多大なる迷惑をかかる恐れがあるので、何としてでも避けねばならなく、僕はゲームを始める前にこの両禁則事項を挙げた。


それに対して咲夜と先輩は当然の如く猛反発してきたが、そこは民主主義の力の象徴である多数決でねじ伏せた。


 それにしても先程から先輩のこちらを見るねっとりとした視線が不気味でしょうがない。咲夜もなんだか悪そうな顔をしているし、本当にこのゲームをして大丈夫なのだろうか。もしかしたら僕は選択を間違えたのではないだろうか。だが今更後悔してももう遅い。後は覚悟を決めるだけだ。


「せーの‼」

「「「「「王様だーれだ‼」」」


 僕の番号は4。どうやら王様ではないらしい。


「お、俺か」

「「ちっ……」」


 王様はどうやら敦らしい。あいつなら無理な命令は出さないだろう。それにしてもあの二人露骨に舌打ちして、怖いのだけど……マジで王様になったら一体何を命令されることやら……不安だ。


「ほら。さっさと命令しなさいよ。それともう一度言うけどエロいのは禁止だからね」

「そんなの言われなくてもわかっとるわい」

「ふん。どうだか」

「それに仮にエロい命令できてもお前には絶対命令しないわ。エロさのエの字もないお前にはな」

「なんですって!?」

「まぁまぁ二人とも落ち着けって」

「そうだよ。折角楽しい王様ゲームなんだから喧嘩したらダメだよ」

「とか言って本当は早く次の番を回したいだけでしょう。いやらしい」

「は? 何? 喧嘩? 喧嘩売ってるの?」

「ああ、もう‼ お前らいい加減にしろ‼ 喧嘩するなら終わりにするぞ‼」

「「「ご、ごめんなさい」」」

「私は謝らないわよ。むしろこんなゲーム終わってくれた方が嬉しいし」


 その意見には全く持って同意するのだが、もしここで終わってみろ。後で咲夜に何を要求されるか分かったものではない。


「はいはい。ツンデレの意見は一旦置いておいて敦命令をどうぞ」

「うむ。わかった」

「ちょ、ちょっと誰がツンデレ……」

「それじゃあ二番が三番の方をもむで」

「ん。無難だな」


 ひとまず命令は問題ないとして、それで二番と三番は……


「三番は私よ」


 先輩が手を挙げるその隣で、一人渋面を作る少女が一人。


「なんで私がこいつの方を揉まないといけないのよ‼」

「あちゃ~」


 どうやら二番は咲夜であったようだ。それにしてもこの二人がドンピシャで選ばれるなど一体何の呪いだろうか。神よ。恨むぞ……


「ほら。早くして頂戴」

「い、嫌‼ 他の子なら全然いいけどなんでよりにもよってこの女にそんな事を……」

「咲夜。王様の命令は絶対だ。それに元はといえば咲夜がやりたいと言って始めたゲームなわけだろ?」

「そ、それはそうだけど、そもそも私はこの女とやる予定はなかったわけで……」

「いう事聞かないなら金輪際口を聞かないぞ」

「それは絶対に嫌‼」

「だったら早く」

「わ、分かったよ」


 そう言うと咲夜はまるで親の仇を見るかの様な目をしながら先輩の方を揉み始めた。


「木葉さん、もっと強く肩を揉めないのかしら。全く使えない子ね」

「ぐ、ぐぐぐぐぐぐ……‼」


 先輩めっちゃ調子乗ってる。顔は必死に笑みを隠そうとしているのに、出ちゃってるよ。まさしく愉悦といわんばかりの顔しちゃってるよ。


「ちょっと、木葉さん。今度は強すぎよ」

「うふふふふ……ごめんなさいね。私こういう経験したことがないから不器用なの」

「ちょ、痛い痛い痛い。ご、ごめんなさい。調子乗りすぎたから」

「うふふふ。遠慮しないでいいんですよ? 先輩?」

「あ、ほ、本当にもういいから‼ 肩が‼ 肩が壊れちゃうから‼ ちょ、雅也君助けて‼」

「自業自得なので、嫌です」

「そ、そんな……」


 その後約10分間咲夜の先輩への肩もみという名の拷問は続き、終わったことの先輩は全身汗まみれで、服も若干ではあるが透けており、その吐息も妙に艶めかしくエロく思ってしまったのはここだけの話。

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