ーー006 転移魔法


結局、

森の奥の方から、でっかい道ができてしまった。狩ったドラゴンを引きづってきたんで。

「見通しが良くなって、安全ですね」うさぎ

そういう見かたもあるのか、なるほどな、、、


土魔法とか練習して、近いうちに頑丈な土塀くらい作るか、、


でも、結局速攻で土魔法の練習をその場でした。

土鍋とでかい竈を作りたかったから。


夜中頃にはどうにか使えそうなものができた。

うさぎは小屋の隅で寝ている。


獲物は外側が炭になるほど焦げているので、腐りにくいだろう。

でも、雷に当たって炭になった生き物って聞いたこと無いが、、この世界、、このゲームの設定はこうなんだな?

木とかはまる焦げになるけど、、でも燃えて焦げるんだよなあれも。


竈も土鍋も足りないのでいくつか足した。

あと肉を干す場所も全く足りないので、土魔法で、すだれ?みたいな風通しの良い細かい横棒だけの網みたいの台をいくつも作った。丁度前にでっかい開けた場所ができたので、そこいらにたくさん作った。

ばってばってになったが、腐る前に、と張り切った。


腐るといえば、内蔵、、土魔法がすんごく助かった。

でっかい穴に捨て、埋められたから。すごい量だよドラゴン内蔵。熊の胆みたいにどっか使えるものあるかもしれないけど知らないからどーしょーもないので全部捨てた。


そんときに「氷だ!」と気がつき、水魔法から氷を作り出すことを頑張って、どうにかできた。氷として使うだけだからね、難しくもないのかな?ただ、量が、、川とか井戸とかあればいいんだが、無いんで魔力多く使うだろ?何度ぶっ倒れたことか、、

半地下の氷のドームみたいの作って土で埋めて、氷を溶けないように魔法を維持させ、中にドラ肉を運んだ。


ぎりだった。もすこし遅かったら腐り始めてたな。


それ以降も結構きつかった。

一日中身体強化しっぱなし。

前夜に片した干し肉をまた干して、ドラゴン肉のスープ食べ、少し干された肉は回収して糸に結びつけて木の枝にぶら下げ、缶詰のコピー作ってうさぎにたべさせ、干場にできた余裕に新しく肉を干してから、畑を少しやって、また干し肉かたし、水浴びて、ドラスープ食って、ウイスキーのコピー作って飲んで寝る。

氷ドームの魔法を維持するのを忘れると、すぐ溶けそうになる。もうあれもこれもあってたいへーん!


なんことを、ドラの干し肉が完成するまでやっていたら、なんかお空を飛ぶくらい余裕の魔力量になっていました。

ま、、

すんごく忙しかったよな、振り返ってみると。

いや、そんときは忙しいとか思う暇すら無かった感じだったけど、、


でもいくら干し肉ったってそうそう長持ちするもんじゃない。堅くなったりカビ生えたり場合によっては腐ることもある。

なので、早々に収納魔法(上)を会得しなければならない。


で、そう思ったその晩から少しずつ始めていった。


形が無いモノを想像するって難しいよね?

結局昼間は仕事あるんで忙しいし、夜だけ魔法の訓練になったが、幾分できたのは3日後の深夜。

魔力が多くなったらでかいらしく、試しにドラゴン引きずってきた時に引き倒した木をばんばん入れていった。大半を入れてもまだ余裕っぽい?

出す時は手を入れて引っ張れば出たが、そのうち気がついてイメージしたらぽん!って感じで外に出ていた。

楽ちんである!


んじゃしまうのも?と思って、夜露に濡れないように片付けておいた干し肉の箱を仕舞うイメージしたら、すっと消えた。中に入ったのは感覚でわかった。なので全部仕舞ってみた。

手を出して、一本だけ出すイメージ。出た。

食う。

うん、うまい!


眠くなったが、魔力を使い切ってしまおうと思い、缶詰をばんばんコピーした。何も材料が無いところから生み出すので、魔力を結構食う。小山になったくらいでぶっ倒れた。



コンコンコン

「おはようございます、うさぎです」

・・・・う、うう、、、勝手に入ってきて、、、開いてるから・・・


がちゃ、ぎぃぃ・・

「おおおお!これはっつ!!!缶詰様がこんなにっつ!!!」うさぎ

勝手に食って・・おれまだ復活に少し時間かかる、、


シクシクシクシクシク

??

「どした?」

「かんきりが、、うさぎなんで缶切りつかえません、、しくしくしくしく」

仕方ないんで起きて開けてやった。


ーー


収納魔法、最初は保存状態を維持できないものだった。

が、試行錯誤しているうちに、なんか保存状態保持できてるようになっていた。

原因は不明w

何が良かったんだろう?

記録で残しといてやりたかったが、わからん。

と思って本を見たら、いろいろ細かい設定まで考ると、いつの間にかできていると書いてある。

よくわからんが、そうものなのだろう。

ゲームの仕様ってよくわからん、、、



魔力を使うために、毎晩寝る前に缶詰とウイスキーのコピーを大量に作っていた。

置き場所無くとも、いくらでもストレージに仕舞っておけるので構わずに、ぶっ倒れるまで続ける毎晩だった。



ある日、魚を採りに川に行く。少し遠いんだよな、めんどくさいなぁ、

シュン!


・・・・・おや?


いつの間にか川の目の前。川の岸近くにあるいつもの大きな石。いつもの川である。

歩いていた記憶が無いのか?眠りながら歩いていたとか?記憶喪失?消失?まじっすか?

これ、ゲームのヘッドセットかぶり続けた弊害とかじゃねーの?まじやばい?

どうしよ?

俺会社でも特に仲の良い友人とかいないし、誰も部屋を確認しになんか来てくれねーだろ?

いなかの親兄弟なんかおれを気にするわけねーし、、、(家を無理やり出てきた)


と、いうか、、、外じゃ何日経ってるんだ?飲み食いせずにベッドに寝っ転がって、、、もしかして垂れ流しかよ、、、もしかせずともそうだろうけど、、

しかも飲み食い無し、ゼロ、皆無、、もう死にそうなんじゃね?

ここで死ぬほうがログアウトできるからリアルで生存継続可能だよな?こっちで死ななければリアルで死ぬよな?


「もしもし、、どうしたんですか?」うさぎ

「おう!うさぎ、ここ2−3日来なかったが、元気だったか!いや、俺こっち来て長いけど、リアルではもう死にそうなんじゃねーかな?と思ってさぁ・・ログアウトできないとリアルの俺が死んじゃうから、、ここで死ぬとログアウトできるだろうから、、」


「できませんよ?ノート、読みましたか?」

は?

「おまえ、ノート読めないだろう?」

「前の人が言っていました。ノートにも書いてあるはずです」

・・・・

帰ろう!

シュン!!

家の前????


うさぎは俺の裾に掴まって後ろに居た。

「すごいですね!転移ができるようになったんですね!」うさぎ

てんいぃ??

・・・

まじ?

「えと、これが、転移、なの?」

「そうですよ?前の人よりうまいかも?もいちど川に行ってみましょう」

えええぇ、、


「んじゃ、川!」

シュン!


目の前に川・・・・

「帰りましょう!」

「んじゃ、家!」

シュン!


目の前に家・・

ほう、、便利だね?・・・・・・


「ちっげーよ!!ノートだよっつ!!」

どたどたどた!がたがた!!

あった!

ぱらぱらぱら、、、

どこだよ?

ぱらぱらぱら、、、

ん?

これぇ?


一番最後のページに最近になって書き足したような、、、


”今この世界に居るのは、元の世界からこちらに自分が転移していることを自覚すること。

夢とか、ゲームとか、ほかのなんかでリアルではないと思い込まないように。

そういう気持ちが少しでも有れば、いざという時に生き残れない。

甘い気持ちが少しでもあれば、死ぬ。それがここの世界。ここで死んでも、元の世界には戻れない。

それを理解しておかねばならない。


俺は転移で他の街などに出てそれがわかった。

ここに来るであろう、他のもの達へ、それだけ伝えたかったので、そのために戻ってきただけだ。すぐに向こうに戻る。俺には今はもうこっちの家族が居るのだ。

新参者よ、頑張って生きろ。うさぎたちの面倒をたのむ。彼らは俺ら新参者の面倒を見てくれる善き友人たちだから。”



ほうほう、、

んじゃ、

ここに来たひとの多くはもうここを卒業して街に出た、と?

ふーん・・・なんか、、、


「うさぎさん?」

「はい?」

「ここに来た異世界から来た俺らみたいので、悪い人間はいなかった?」

「居ましたよ?」

いたのかよ・・・


「そいつらをどーやって追い払ったの?つか、見つからないようにしていたの?」

「いえ、排除しました。もう土に還っています。」

そうっすか、、うさぎ、強いんだね、、どうやってか、って、怖いんで聞かないほうがいいかな・・・


「なぁうさぎさん」

「はい?」

「俺も街に行ったほうがいいのかなぁ」

「そうですね。ひとはうさぎと番(つがい)になれないので、ひとの番相手を探すほうがいいですね」

そういうことっすか?


「俺、一人で行くの?」

「一緒に行きましょうか?」

「うさぎ、行ってくれる?・・だめだ、おまえ捕まって食べられちゃうよ?」

「うーん、、とりあえず大丈夫だと思います。」


「訊いていい?」

「どうぞ」

「なぜ?」

えーと、、と考えるうさぎ


「大丈夫だから?」

「・・・・・・いや、その大丈夫だという理由をだな?」

「この世界の人は、うさぎを食べません。ほかから来た人達はそれを知りません」

「そうなの?なぜ?」

「神様の使いだとか?」

疑問形かよ?


「どういった神様なのかな?」

「うーんうーんうーんん!きっとうさぎ好き!!」

訊いた俺が悪いのかな?


マ、イッカー、、、

「少しだけ街に行ってみよう。で怖かったら転移でこっちに戻ってくればいいだろう?」

「そうですね。転移を追うことはできないので、ここは見つからないでしょう」

なんか恐ろしげな言い方だなー


あ、

「俺って、強さどれくらいだろう?」

「さあ、でも今までの人達はオーガをばさばさ狩っていました。街に持っていくと稼げる、とか行っていました。」

「何か?ストレージに仕舞って街に転移して売ってくるのか?」

「そうだったようです」


・・・・・

「明日からオーガ狩り訓練にはいります。うさぎは危険なので来ないでいいです。」

「大丈夫、、、、かもしれないので、最初だけ行きます。場所しらないですよね?」

「・・・そうか、、んじゃ場所確認だけ一緒に来てね。その後一旦戻ってきて、俺だけでまた行くから。」

「わかりました。ではあす!」

「いやまで、缶詰食べていけ。」



俺はドラスープ。うさぎは桃缶。

よく飽きないもんだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る