4章 4話 2人の魔法使い4

王女の20歳の誕生日


王位継承の式典で、国民全員にこの国の真実が説明された。

処刑されたとされていた人達も、皆元気になり隣国から帰国した。


それでも王女は王位の継承を最後まで拒んでいたが、真実を知った国民からのありがとうの言葉に

またマスカラの混じった黒い涙を流し、サナが慌てて直した後

爪先が赤く彩られた女王陛下の手から、王位の印である王冠を授与された。



こうして、王女は正式にこの国の女王となった。





そこから先は、劇的な変化の毎日だった。


メイク用品はこの国の立派な貿易品になり、隣国との交渉材料にまで成長した。

メイク用品を売る代わりに医薬品、医療知識な設備をこちらに提供して貰えるようになり

【処刑】という形で選別しなくても、全員が十分に医療を受けられるようになった。

モニカ王女は国の為に政略結婚をしなくても良くなり、正式に縁談を断ったそうだ。

しかし隣国の王子は大層モニカ王女を気に入り、今は「お友達」としての関係に落ち着いているそうだ。


そしてメイク用品の開発、生産は国の一大産業にまで成長したので、あの小さい研究所では手狭になり、国が管理する大きな工場が続々と作られ設備はそのままそこに移動された。


そして仲間達は、全員あらゆる形で化粧品の製造を手伝ってくれている。

ミアはラベルや容器のデザイン

ステラはパフの製造ラインを監修

ヒースそのまま家畜の毛を卸してくれている

国の仕事になったお陰でしっかりとした給料も支払われる事になったので、全員前以前より安定した生活が出来ている。




ただその中に、ユリウスだけは居なかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る