新婚旅行――5
一時間後。旅館に到着した俺は、その
立派な庭園を持つ木造建築。歴史を感じさせるどっしりとした
「……高校生の俺たちだけで泊まっていいのか?」
「いいんですよ。わたしたちはお客さんなんですから」
「行きましょう」と、
入り口にあった門をくぐりエントランスに向かう。
チン、とベルを鳴らすと、奥から女将がやってきて
「ようこそお越しくださいました。ご予約はされていますか」
「はい。予約していた相原です」
「相原様ですね。
緊張しながら受け答えすると、女将はもう一度お
女将に案内されて廊下を歩く。廊下には見るからに高そうな
居心地の悪さに唇をムニャムニャさせていると、女将が振り返り、尋ねてきた。
「お二方はご兄妹ですか?」
「は――」
「いえ。わたしたちは夫婦です」
俺が「はい」と口にするより早く、玲那がたおやかな笑みとともに答える。
おい! 言っちゃうのかよ! いや、事実なんだけど、家族以外に打ち明けるのって
俺がギョッとするなか、玲那は涼しげな顔をしていた。驚異的な
女将が「まあ!」と目を丸くする。
「
「『少子化対策法』が
「あらあら! お
「今回は新婚旅行に来たんですよ」
「それはおめでたいことです!
「うふふ」と上品に微笑んで、女将が再び前を向く。心なしか、先ほどより後ろ姿が上機嫌そうに映った。
微笑ましく思われているようで照れくさい。頬が熱を帯びるのを感じながら、俺は玲那にこっそり尋ねた。
(なあ、玲那。俺たちが夫婦だって明かす必要あったか?)
(明かすもなにも事実じゃないですか。むしろ、隠す必要がありますか?)
(それはもっともなんだけどさ……)
口ごもる俺に、「それに」と、玲那が微笑みながら付け足す。
(夫婦と伝えておいたほうが堂々とイチャイチャできるでしょう? 新婚旅行ですから、たっぷりイチャつきたいんです)
(~~~~~~っ!)
玲那の言葉と笑顔に胸がキューッと
そんな可愛いこと言われたら文句つけられないだろ!!
なにも言えず、俺は赤くなっているだろう顔を隠すためにそっぽを向く。
玲那が「ふふっ」と笑みをこぼし、俺の手を取ってきた。
(いっぱいイチャイチャしましょうね、『涼太さん』)
スルリと恋人繋ぎをしながらの名前呼び。俺の鼓動がますます速くなる。
ホント、俺は玲那に振り回されっぱなしだなあ……。
溜息をつきながらも、俺は玲那の手を握り返した。
玲那の手を振りほどくつもりなんて
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