第25話 『でぃすてぃにー・うぉーたーしぇーど!』

 ホテルの一室、床に寝っ転がっていた米沢は朝日によって目を覚ます。

「ん…今何…」

 目を疑うような光景が、そこに広がっていた。

 宮藤が右に、十文字が左に…両方とも下着姿で寝ていた。

「どわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 あまりの叫び声に龍崎も目を覚ます。

「も、もう少し静かに…ってえぇっ!?米沢さん何してるんですか!?」

「なんで俺に聞く、こいつらに聞きたいわ!」

 米沢は顔を赤らめる。

 十文字と宮藤は既に起きていたようだ。

「あ、おはよう…昨日は凄かったね。」

「何もしてないしてない!冤罪吹っかけんな!」

「責任取るって言ってたやんか!この嘘つき!」

「何の責任取ればいいんですかねぇ!?つーか他陣営の奴を部屋に入れるとか不用心過ぎんだろ!あと服着てこい!」

「大丈夫やて、ウチのことは知ってるやろう?そんでここで裏切るメリットはほぼないやん。」

「それでも万が一が…」

「米沢さん…責任は取りましょうよ。」

「誰よその女!私以外の女と話すなって言わなかったッスか!」

「話をややこしくすんじゃねぇぇぇ!」

「あ、そうそう。ここで追加ルールの発表ッス!」

「追加ルール?」

「ならとりあえず灯火ちゃん連れてくるね!」








「じゃあ全員が揃ったし、追加ルールの説明をするッス!…アスモデウスちゃんが!」

「なぜ俺なんだ…まぁいい。追加ルール…それはコレだ。」

 アスモデウスが指をパチンと鳴らすと、の地図が空中に現れる。

「今君達がいるのは北地区だから問題ないが…明日になった瞬間、南地区を削除する。そこにいた人間は全員死亡することになるな。」

「エリア制限ってヤツか。」

「その通りだ!ちなみに明後日になると更にエリアが制限されるぞ!これをどう使うかは君達次第だ。」

「え、つまり…他陣営との遭遇率が上昇するってことですよね?」

「…そうなる。ついでに言うなら、南地区から北地区への大移動が始まる。」

「ほんなら待ち伏せしてまうか?」

「待ち伏せ…けど他も同じこと考えてそうなんだよな。」

「別にようないか?そいつら潰せばええだけやん。」

「それもそっか。じゃあ虱潰しに行くか?」

「そうだね。全員で行こう。」

 ─倭島はずっと黙っていた。

(…やっぱりこの人達は信用できない。もし少しでも不穏な動きを見せれば…問答無用。)








 北地区と南地区は、線路によって分かたれている。

 駅前に、5人が集まった。

「駅から先が、明日から無くなるんですか…」

「日和ってんのかぁ、龍崎ぃ?愉しいのはこっからだぜぇ?」

「ううん、大丈夫!でも、5人固まってると警戒されて避けられると思うけど…。」

「けど数の利は活かしたくね?」

「そこは考えてきた。問題な…」

 ガシャッドオオオオオオオオ!!!!!

 米沢は本日二度目の信じられない光景に遭遇する。

 ─電車が、自分達目掛けて落ちてきたのだ。

「…ッ!?」

(電車っ!?敵の攻撃は想定していたが…!を掛ければ抑えられる…が、ここは!)

 米沢は宮藤をお姫様抱っこする。

 そして、思いっ切り空へと向かって行った。

「…意外と積極的なんやな?今朝の冗談本気にしたんか?」

あながち間違いじゃねぇかもなぁ。暫く一緒に愉しんで貰うぜぇ!」

 電車の上に飛び乗って、電車の方向を操作しようとする。

 ─が、電車はピクリとも動かない。

(俺のが足りないのか?いや、遠距離ならまだしも接触でびくともしないのはおかしい…!となると考えられるのは。)

 電車が、地面に落ちる。

 そのままビルに突っ込んで、ビルと共に瓦礫となった。

「こっちや!こっちに向こうを監視してる奴がおる!」

「龍崎…はまだ生きてるが、合流は断念するか。あんな奴らを野放しにするのは非常に危険だ。急ぐぞ!」








「いった…」

「倭島さん、無事ですか?」

「大丈夫。…十文字さんはいなそうだけど、糸で向こうに行けば合流できる。」

「わかりました。では一緒に…」

「駄目、貴方は信用できない。私一人で行く。」

「え?それでは何の為に同盟を組んだんですか!?これでは裏切られるスリルが…」

「元より私からすれば同盟は本意ではない、この変態め。」

「変態なのは十文字さんの方で…」

「あ゛?」

 倭島が目をギロリと光らせる。

「十文字さんを侮辱するな…二度目はない。」

「ご、ごめ…」

 ヒュンッ!

 炎が、何処からともなく飛んでくる。

「敵かっ!?」

「そこから動くことを禁止する」

 突如、倭島と龍崎の体が停止する。

「な、何ですかこれは…!」

「体が…!」

「へっ、止まってる的を狙うのは性に合わねぇが…悪く思うなよな。」

 平と稲葉が、二人の前に姿を現した。

「じゃあ早速だが、焼死体になって貰うぜ!」

 ジュジュッッ!

 そう言うと平は双方向に炎の弾を放つ。

(繭でもこの炎は恐らく防げない…!終わりね。)

 ─だが炎が二人に辿り着くことはなかった。

 龍崎は、炎すら凍らせたのだ。

「ほーん、やるじゃん」

「何で…私を助けたの?」

「いいから力を貸してください!打ち消せるとはいえ、動けないこの状況は流石に不利です。それとある程度糸は出しっぱなしにしてください。」

「…わかった。」

(チッ…楽勝かと思ったが、かなり面倒だな。合理の方は…どうなんだ?アイツ相当な変貌っぷりだったが…)








「あ、お、お前は!」

「…君が、渋谷と音無を殺したのか?」

「あなたの仲間ですか。よく理解りませんが…神の名のもとに、憐れなる仔羊を救済致しましょう。」

「…いいよ、答えは求めてない」

「お、おい…!何かコイツ雰囲気がやべぇぞっ…!前とは違う…!」

「全員殺せば、関係ないよね?」

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