自滅賛歌

叉来丸 丸

1 遊び

無意味の真価を語ろうではないか。

そこにいる親子を見たまえ。

子はああやって小箱をひっくり返しては中のビー玉をばらまいて母親の手を焼いている。

母親はそうなる度に一つ一つビー玉を拾い集めて小箱に戻す。

ここに大いなる価値を見出せはしないだろうか。

生まれ極めてはそれを手放して亡くなる。

味わうために味を忘れる。

学ぶために生まれ、忘れるために死ぬ。

生まれるとは手元のビー玉を散らすことであり、生きるとはそれを拾うことだ。

どうしてそうするのかって?

それが人の性であり機能だからだよ。

何か別の衝動があれば収まるかもしれない。

でもなにもない。

それが全てなのだ。


味のしない真理を語りたがるのは男の性か。

そんなものよりも恋の味の方がおいしいんだから女性は賢い。

誰が好んでリンゴの芯を食べようか。

では柄にもなくおいしい話をしようじゃあないか。

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