真面目な幼馴染が交通事故に遭い変態な事になりました。.....割と真面目に助けて下さい.....。(リメイク版)

アキノリ@pokkey11.1

第1章 忘れたい初恋

1、目指すべき目標

第1話 忌々しい初恋

俺、山菱達也(やまびしたつや)は成績面で優秀では無い。

全てが劣っている。

運動でも才能が無い。

そうだな.....それを簡単に言い表せば.....こんな感じかな。


路傍の石。


全てにおいて本当にこれが今の状態には似合っているかも知れない。

だけどそれでも。

路傍の石から進化して勝ちたいと思っている相手が居る。

それは.....高貴な華になっちまった幼馴染の可憐な少女。

名前を十影美里(とかげみさと)という。


黒髪の煌びやかな長髪。

そして整い過ぎた顔立ち。

モデルの様で.....モデル嫌いな顔。

そして赤の蝶のカチューシャを身に着けている制服を律儀に着こなしている女帝。

特進科2年で出席番号11番。

17歳。


その赤のカチューシャは妹の十影美幸(とかげみゆき)との絆の証だとされている。

妹の美幸は青のカチューシャだったしな。

だけど今の俺にとっては少なくともどうでも良い話だ。

美幸とも.....仲が悪いしな。


思いながら俺は俺達の学年のある場所の.....その丁度、階段下から.....特進クラスのアイツの顔を見て睨む。

相手の美里が睨んできたので睨み返しただけだが.....ハァ。

何でこんなに仲が悪くなったのやら。

少なくとも大昔はこんな事は無かったのにな。

思いながらポケットに手を入れて歩き出す。


「.....くそ。成績でも恋でも勝てないなんて.....忌々しい」


俺はそう悪態を吐きながら短髪の頭をガリガリ掻きつつ歩き出す。

正直.....美里は昔と違って大嫌いだ。

だけどまだ美里への初恋を忘れられない俺が居る。

この心は恋だ.....。

心臓が高鳴るしな。


だけど今は勉強の面で見下されている気がする。

俺はその事もあってか.....嫌っている。

だけど好きだ。

だけど嫌いだ。

一体どうすれば良いのだか全く分からない。


だから忌々しいのだ。

美里の存在も成績も全てが、だ。

だけどそうやって嫌っても仕方が無い事は知っている。


忘れたいのだ全てを。

だけど.....だけど。

もしかしたら昔に戻るんじゃ無いかって期待もあるのだ。


だから.....全てを忘れられない。

リセットボタンを押せないのだ。

あの.....美幸とも遊んだあの頃に.....だ。

馬鹿だよな俺は.....ナヨナヨしてんな.....本当に。


「よお。どうした。そんな面して」


「.....ああ。仁」


「.....もしかしてまた美里ちゃんか?」


「ああ。まあそうだな」


天津仁(あまつじん)。

俺の親友ってか腐れ縁の親友。

悪友とも言える存在だが.....茶髪でネックレスで首元を開けている。


制服も着崩しているのでルックスは最低だとも言えるが。

コイツはコイツなりに良い奴なんだよな。

残念だが嫌いになる点は無い。

思いながら.....仁を肩を竦めて見る。


「また睨まれたのか」


「そうだな。.....何なんだあのクソバカ。マジに無いわ」


「まあまあ。生徒会副会長を務めていらっしゃるんだから。.....そういう事もあるだろ。何せ1000人の告白を受けたらしいしな.....噂では」


「成程な。.....まあ良いんだけど色々とアイツ俺を見下している気がするんだよな」


「お前の全体成績2位の事か?それは気のせいじゃないか?少なくとも昔は好きだったんだろ?お前の事」


2位を馬鹿にしているだろう絶対に。

しかし懐かしい事を話すもんだな仁は。

あの可愛かった幼女はもう居ないぞ残念だが。


今となってはただの.....多少は仲の良い女だ。

忌々しい存在の、だ。

思いつつ.....仁を見てみる。

コイツの事は信頼しているから色々と話しているのだ。


「昼休みに出たら嫌なものを見たな......マジに」


「まあ確かにな。お前.....珍しく家から弁当持って来てなかったしな」


「そうだな。部活が忙しかったんだよ。妹の小春が」


山菱小春(やまびしこはる)。

中学生の3年生で俺の妹。

15歳である。


顔立ちは結構可愛い方の女の子だ。

黒髪のボブである。

昔、美里に貰ったピンクのボロボロのカチューシャを愛用している.....が。

そんな事は美里も美幸も忘れているだろうな。


美里お姉ちゃんと美幸お姉ちゃんと言って慕っていたが。

今となってはおじゃんな関係だ。

遠い存在になってからは俺を慕う。


そんな小春にはよくお世話になっている。

何がといえば.....そうだな。

学校に行く際に昼飯用のお弁当を作ってくれたりとか。


「小春ちゃん可愛いよな。俺にくれよ」


「喧しい。やらん」


「オイオイ。つれねぇな」


「当たり前だ。俺は小春が居なければ死んでしまうのでね」


「この最低シスコンめ」


何と言われようが俺は妹は誰にもやらんぞ。

飯を作る係が居なくなってしまうしな。

それは非常に困る。

親は夜遅いしな。

そして俺は飯を作れないのでね。


「しかし隣人なのにまるで昔の大好きな関わりが薄れるとは。.....あれだねぇ。歳を取ると怖いねぇ」


「歳ってお前何歳だ。17だろ。.....基本、小春が声を掛けても無視だしな。美里も美幸も。何を考えているのか知らんが」


「ハッハッハ。思春期だねぇ」


「俺達もだけどな。それ言うなら」


確かにな。でも俺は思春期とか無いぜ?、と言う仁。

嘘こくなコラ.....。

自身の母親の事をクソババアと言っている癖にな。

最低だなコイツ。


「でもどっちにせよ。何か天気とかの話題で話し掛けてみたらどうだ」


「馬鹿言え。そんなもん無視されるに決まっているだろ」


「そうだな。.....じゃあどうするか。.....デートに誘うとか?」


「もっとアホだろ」


そんな会話をしていると。

目の前から美幸が歩いてきた。

その美幸に対して仁が突っついてくる。

俺は盛大に溜息を吐きながら声を掛けてみた。

美幸、と言いながらだが。


「.....はい。.....何でしょうか。山菱さん」


「.....お、おう。今日はいい天気だな」


「.....そうですね。では失礼します」


「.....そ、そうだな.....」


イケメン100人の告白を打ち破ったとされる童顔ながらも綺麗な美少女、美幸様は頭を下げてさっさと1年の特進科に去って行く。

俺は苦笑してから額に手を添えてから仁を睨む。

そんな仁は肩を竦めた。

それから手を広げて苦笑い。

笑っている様に見えるが.....この馬鹿ブチ殺そうか。


「まあそういう事もあるだろ」


「.....お前がやれって言ったんだぞこのアホ」


「.....くくく.....うん」


「笑うなコラ」


何というかそんな日常を送る俺達。

その中で.....そんな事件が起こるとは誰も想定して無かっただろう。

通学路での交通事故の弾み飛んできた車に.....美里が偶然にも巻き込まれる。

そして.....と。

その事に、だ。

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