第12話:差別や偏見がもたらす弊害 ③-1

ただ、会社を辞めた部下が自分たちよりも上に行かれそうになるとその人を潰しにかかるなど個人の成長を阻害して、自分たちの意見を通しやすい社会を作ろうとしている場合も少なくないのだ。


 これは政治なども同じで、年齢の上の人の意見は通りやすいが、若い人たちの意見は通りにくいなど“年齢差別”や“年功序列”が顕著に表れることもしばしばで、現在の政治に関しても若年層の投票率や立候補率などの数字が停滞している要因に“どうせ自分が言ったとしても聞く耳は持ってもらえない”という政治に対する不信感が強くなってしまう事で、何かに協力してもらいたいと言っても反発する人が増える、協力に従ってもらえないなど更なる対立を生む要因になりかねない。


 そして、日本というのは上から圧力をかけてでも守らせようとする事例も多いことから“職権乱用”や“立場乱用”など起きている対立に更に拍車をかけてしまいかねないのだ。


 今、社会に求められるのは“年齢による差別や偏見を減らし、同じ目線で物事を考えること”だと思う。


 なぜなら、将来を決めるのは大人ではなく、子供たちであり、大人が決めた事に子供たちを従わせるのは一種のいじめであり、差別であると感じた。


 今の若い世代はネットで人とのつながりを構築することも定常化しており、同じ価値観を持っている人と繋がること、共通の趣味を持っている人と簡単に繋がることが出来るため、繋がる速度が以前の交流速度よりも早く、時間も場所も選ばない。


 そうなると、1つの考え方が拡散される速度も以前に比べると速くなるため、同年代における議論も活発になり、ふとした失言なども数時間後には一定の範囲まで拡散され、情報を知っている人が増えている事もある。


 しかし、内容によっては“自分たちの方が経験はたくさんある”や“自分たちがやるから口出すな”のように子供が意見を持っていたとしても、大人からの圧力で消されてしまうことや子供たちが自分の意見を主張しても大人はそういう声を遠ざけてしまうこともあり、なかなか聞き入れられない事も多々ある。


 このような社会構図が定常化してしまった結果、その年代の有名人やインフルエンサーなど社会的影響力が高い人にならないと意見が通らないことや個人が意見を発したとしてもその意見が反映されることも議論されることもない。


 つまり、日本というのは年功序列型社会が未だに続いていることで若年層に対してトップダウン型アプローチが不十分となり、双方の意見をぶつけ合えるような社会ではないことで、年齢の上の人が優遇され、下にいる若年層が潰されるという社会におけるパワーバランスが崩壊し、一方的に上の人に傾くことで適正なバランスが保てなくなり、双方の関係性の崩壊などが目前まで来ているということになる。


 そして、若年層が抱えている問題や多様性に対する社会適応性が他の先進国との後れをとっているのもこのような世代交代が上手く進んでいかないことが要因だと思う。


 現在、デンマークなど欧州の多くで“子供議会”のような子供で構成されている議会がある。そこでは小学生などの子供たちが主になって議題を持ち寄り、議会内で議論し、国会など大人の議会に提出するという一連の流れも定常化しており、デンマークのような取り組みが今後、日本においても必要になってくると思う。


その理由として、少子化対策や環境問題、教育問題など子供たちが関心を高く持っている分野に関しては大人だけではなく、実際に学んでいる子供たちの意見を取り入れていかないと、大人の視点で子供たちの事を議論して、考えたとしてもミスマッチを招いて空回りしてしまうことや、決定事項を子供たちに通知する際に混乱を招くなど、子供たちと大人の温度差が顕著になりかねない。


仮にこのまま大人が決めた事を子供たちが守る状態が続くと、私は間違いなく手遅れになる事が想定できる。


なぜなら、子供たちが学んでいる事の多くが以前からの教育カリキュラムや学習基本計画に則った内容が多く、子供たちが“自発的に学びたい”という内容よりも“大人から学ばされている”と感じる内容が多いのではないか?と感じることが多々ある。


今の子供たちはアクティブと非アクティブの子に分かれているため、反発する子はそこまで多くないように感じる。


ただ、年を追う毎に子供たちの“大人への不信感”が徐々に顕著になっている様に感じる。


そのような状況になっているからこそ、これらが起きる要因を多角的に分析し、判断を多角的にしなくてはいけない時代が来ているように感じる。


 例えば、今は若い世代が世界に出ていって、各国の仲間たちと共に世界を変えようとしている姿やそこに賛同する形で各国内にたくさんの仲間がいるなど上の世代に対する下の世代からの圧力は年々高まっていく可能性がある。そして、そこで折り合いを付けられないと、今度は政治に対して不信感を持たれて、政府がどのような政策をやったとしても下の世代からの賛同を得られないだけではなく、その影響が多方面に広がっていく可能性があるのだ。


私はこれからの時代“子供<大人”という構図が徐々に現実になっていくように感じる。


 その理由として、大人というのは利権や自分の得になる事を進めていくという印象を若い世代が抱いており、特に子供たちに関しては価値観の二極化が進み始めていることが挙げられる。

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