第10話:差別や偏見がもたらす弊害 ②

これは私が見てきた事例からもそのような状況を想像出来てしまうこともある。


 例えば、自分よりも成績が良い子が自分よりも悪い子に対して見下すことで相手を陥れようとしたのだが、その人が自分よりも先に出世してしまうと、自分の面目を守るためにその人を潰しにかかろうとする。その結果、自分に返り討ちを食らってしまうということも十分に考えられるのだ。


もちろん、それだけ本人の成長に期待している人やもっと能力が高くなっていくという期待の裏返しの感情である可能性も否定出来ないが、一方でその人が人気者になる事に対する嫉妬等が含まれている場合もあり、一概に判断をすることはかなり難しい。


 その上、日本という社会は常に相手の成長に期待をしており、その期待に応えられた人だけが更に上を目指すことが出来る社会構造になっているため、成長している人以外は上を目指す事は難しい。


 このように相手が求めている事が出来ないと差別や偏見の被害に遭うことやその事を周囲に対して連鎖的に拡散されてしまい、どんどん社会から孤立してしまう可能性があるのだ。


 これが長期的に続いた影響で、就職に対して後ろ向きになってしまう人や就職に対してトラウマを抱えてしまい、社会に対する不信感が強くなっていってしまう事に繋がり、再就職や人と人のつながりなどを元の状態に戻すにもかなりの時間がかかってしまう。


 そうならないためにも、普段からきちんとフォローする事が大事になると思う。


 そう思う理由として、私の経験がある。


 これは普通の人ではあまり考えられにくいが、私が社会人として仕事をすると、入社から2年以内に会社を追われている状態になっていたのだ。


 これは今考えても理由が見つからないし、分からない・不明な点が多い。


 ただ、可能性としてあるのは“価値観の相違(相異)やすれ違い”、“人材育成における指導法”など会社のやり方を尊重しつつも相手に合わせて指導していた事もあったため、その影響も少なからず関係している可能性がある。


 もちろん、これはどちらが悪いというわけではなく、偶発的に起きた不一致がこのような結果を招いたのだと思う。


ただ、相談をすると“それはあなたが悪いのではないか?”や“あなたの能力不足ではないか?”といった“自責論”が先行し、きちんとした精査をせずに相談者を悪者扱いしてしまうケースも少なからず報告されており、このような対応が次のステップに進む際に悪影響を及ぼすことや自分に自信がなくなり、何をしても楽しくなくなるのだ。


このように過度の自責思考を押しつけられることで人というのは自分がやっていることに対して混乱をすることや長いトンネルから抜けられないなど個人にとっても社会にとってもマイナスの効果しかもたらさない状況を作り上げてしまう。


今は“効率性”と生産性“だけにフォーカスすることで、即戦力にたどり着く場合も多いが、1番は新採用の社員をいかにして多彩な社員にするかだと思う。


 その理由として、今の若年層は1つのカラーではなく、いくつものカラーを持っている場合も多く、そのカラーを更に増やすことで個の可能性はいくらでも育めるし、相手の立場や視点に立つことでいくらでも引き出すことが出来る。


 そのうえ、受けてきた教育カリキュラムも多角的な視点から考えることや1つの答えに固執しないものが多いため、柔軟な発想を育めている場合も多い。


 このように、時代の変化に合わせて、人材の多様性も増えていき、自社の可能性を広げるチャンスが増えていくことになるが、このような人材を育成するためには多様な人材にさまざまな経験を積ませないといけないなど人件費がかさむことになるため、企業にとっては頭を抱えてしまうような話しだが、このような状況を作れないと現在以上の発展は見込むことは出来ないと思う。


 そして、現在未就業や解雇・雇い止めによる雇用機会の喪失など“働きたくても働けていない人”の更なる増加が懸念される状況になっている。


 この状況に立ち向かうためにはトップダウン型の雇用支援やフリーランスやフリーワーカー(特定の企業などへの就業ではなく、個人が特定の業界内で第三者の立場で従事する雇用形態)など個人が求められる場所を増やせるような仕組み作りを進めていき、そこから新たな働き方や雇用形態を作り上げていくことで個人の働く事への意識の変化を取り込むことが可能となり、これまで特定の会社や個人業などに限られていた“雇用”という枠組みが広域的な企業との取引や共存を図ることで拡大し、そこから企業の枠に囚われないアイディア等を提案しやすくすることで産業の発展や個人の活躍機会の増加による好循環を生むことが出来る。


 このような提案というのは第三者から見ると“こういう雇用形態を構築したとしても継続的な運用は難しい”や“こういう形態を適用しても効果は薄いのではないか?”という声も上がることは想定しており、そこから新たな効果を生むことは難しいと思っているのだろう。


しかし、このような新しい取り組みを積極的に取り入れていかないと、雇用面での改善や今ある既存の課題を解決することには繋がらない。


 特に、雇用の安定を図れていない現状で、“賃上げ”や“待遇改善”など先の話をされても本人たちにとっては“自分たちには関係ない”や“自分たちはこういうチャンスはもらえない”などこれまで起きてきた事が原因でチャレンジを辞めてしまう人も増え、場合によっては自傷行為などに走ることも考えられる。


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