其ノ十七 対面

しばらくして、ドアの向こう側が静かになった。そろそろ突入してくるのだろう、俺はそう刀を構える。

正直斬られた右肩がものすごく痛い。こんな調子じゃ、右手は使い物にならない。

でも、俺は、戦うしかない。

明は武器持ってないし、和さんは服が軽いとはいえ、着物だから動きにくいだろうし、アリマスちっちゃいし。

だから、まともに戦えるのは、俺しかいない。

その時。

「アリマス、どこ行くの⁉︎」

アリマスがどっかに行ってしまった。

あいつ、逃げたか。

と、しばらくして、アリマスがえっちらおっちらと何かを引っ張ってきた。

だった。

「なぜ、なぎなた?」

「これを……明殿にっ……!」

なんでかよくわからないけど、アリマスの必死さに押されてなぎなたを手に取り、明に渡す。

「これは……?」

「なぎなたです。」

「は?」

ま、そうなりますよね。

「武器として持っといて。危ないし、ケガされると困るから。」

と、

「ありがと……。」

なんで照れるんだ。

「いや、持ってきたの、アリマスだから。」

一応訂正。

「そうなんだ。アリマス、ありがとう。」

そう言って微笑む明。

そして……顔を真っ赤にしてめちゃくちゃ嬉しそうなアリマス。

こいつは……俺の敵かもしれない。


それから三十分が経過。なのに、なぜか敵が来ない。

「来ないね〜。」

「ねー。」

「遅いでありますね〜。」

明も和さんもアリマスも、気が緩んでる。

武器も床に置いちゃってるし。

こんなんじゃ、今、敵が襲ってきた、ら……っ⁉︎

「和さん!明!アリマス!これは罠だ!気が緩んだところで襲ってくる算段なんです!」

俺の言葉に、2人と1匹は慌てたように武器を持つ。(アリマスは俺の頭の上に)

そのとき、ばんっと大きな音がして。ドアが、開いた。


「っ⁉︎」

「来たっ!」

刀を構えると、3人の侍が飛び出してきた。

そして、ゆっくりと近づいてくる。

俺も、ゆっくりと近づいていく。

すると、アリマスが、俺の頭の上でペタペタと足踏みをする。

「何、今取り込み中なんだけど!」

「後ろであります!」

「んにゃ?」

後ろを振り向くと。

「ひょ、ひょえぇぇ」

大男が真後ろに立っていた。

その時

「きゃぁ!」

「明!」

明が他の男に羽交締めにされて、ドアの中に連れ込まれるところだった。

「明っ!」

明の方に走り出す、でも俺も、同じように男に羽交締めにされる。

「やめろ!」

もがくけど、そもそも足が浮いてしまうほどの体格差。

「やめるであります!やめるであります!」

「いってぇ、目潰しすんなこの栗鼠が!」

アリマスが敵に目潰し食らわせてるらしいけどなすすべなく、俺も同じように部屋に連れ込まれた。


「ぐはっ」

無造作に床に俺は、体を打ち付けて声を出す。

「ちょやめてね優しく置いてね……痛いっ!」

隣に、和さんも落ちてくる。

痛みを堪えながら起き上がると、少し高くなっているところに、葉月と、美沙さん、その2人の間に、男が1人、椅子に座っていた。

「美沙さん!」

明が叫ぶ。

でも美沙さんは何も答えなくて、葉月が口を開いた。

「やっと、戦える……いや、貴方達には早く消えてほしいの。災の火種はきちんと潰してから、『計画』を進めたいからね。」

そう言って、不敵な笑みを浮かべる。

「でも、戦うのは私と美沙だけ。この男たちは、『計画』のためにとって置かないとって、あなたに怪我させられるわけないでしょうけど。」

「ああ、怪我させることはないだろうな。」

和さん⁉︎

「僕らは、誰も傷つけずに、お前らを……倒す。」

俺らの戦いが、今、始まる。







きなこもちです(^^)/

今回更新早くなかったですか⁉︎1ヶ月以内に更新なんて、珍しい……。

それはともかく、きなこもち、ちょっとトラブルに巻き込まれました。

なんと保存ができず、700文字くらい書いていたのに全部消えまして。

なんとか書き直しました……(´;ω;`)

話は飛びますが、最後の和、かっこよかったですよね〜。和らしい、優しさの滲む言葉でした。

というわけで、そろそろ最終章です。お楽しみに〜(^∇^)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る