第一部:その死が流れを導く。

プロローグ(本編はここからです)

クリスマスプレゼント、到来

 かつて、この星を宇宙から初めて見た宇宙飛行士は言った。


「空はとても暗かった。一方、地球は青みがかっていた」


 時は流れ2098年12月24日。この星は今や……


 醜い、カビのような極彩色に覆われていた。それとも醜い重油を全身に塗りたくられている、とでも形容できるだろうか。いずれにせよ、その姿にかつての美しい星としての面影は何処にもなく、まるで腐り落ちる寸前の果実のようでもある。


 特に中央アジアの辺りは大地全体がぐずぐずにとろけ切っており、時折心臓のように脈動する様子が見える。

 そしてその現象は他の大陸でも起きようとしており、さながら地獄ゲヘナが顕現したかのようだ。

 時折地上で、海上で光る点は果たして生者の痕跡か、それとも戦闘開始の狼煙か。

いずれにせよそれらの光はそれなりの頻度で見ることができた。


 まだだ、まだ人類は敗北などしていない。このまま滅びていくものか! 

 人類は必ずやヤツら「異形生命体いぎょうせいめいたい」との戦いの勝者となる!

 そうして輝かしい22世紀を迎えるのだ‼


 この時代、誰もが、そう願った。

 闘争の末の明るい希望を信じて。

 懸命に生き、迫りくる絶望からあらゆる方法で抗っていた。

 


 そして


 12月25日。人類は「豊穣」を



 それから200年の時が経ち、人類は────

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