第4話

『ヂョ!! ヂョ!!』


聖女の出力最大バリアを破ろうと、増量された卑猥な触手がバリアに激しいピストン運動を開始。

うーん…バリアにひびが入る度に修復はされてるけど、ありゃ破られるのは時間の問題だな。


グッバイ聖女。

お仲間がドス黒お肉の中でウェルカムしてるから、仲良くするんだよ。


「ゆ、ゆうじゃざまぁぁ!! だずげでぐだざいぃぃ!!!」


やだよ。

助けに行ったら俺も触手にヤられる可能性が超高いじゃん。

めっちゃギャン泣きしてる姿は哀れだとは思うけどさ。


「いや俺、足がほら…」


「おねがいじまずぅぅ!! ぜいどれいにでもなんでもなりまずがらぁぁ!!!」


本当聖女って生きるのに超必死ね…。

俺も自分の命が超大事だから、その気持ちはよくわかるよ。


「…ゴメン勇者様。失敗したら勇者様だけでも、なんとか逃げてね…」


「っ!? ゴリ聖お前っ!!」


聖女に向かって駆け出すゴリ聖。

だからソイツもお前を殺そうとした相手だってのにさぁ!!

あーもう…お前も自分の命を超大事にしろやぁ!!


「超飛ぶ斬撃連打だオラァ!!!」


「…勇者様、ありがと…」


超飛ぶ斬撃でゴリ聖にも向かって行く卑猥な触手をガンガン切り落としながら、本体にも斬撃をブチ込み怯ませて聖女救助ルートを作成。

長くは持たないから早くしろよっ…!!


「聖女!! 勇者様があんたの為に道を作ってくれたよっ!! あたしも援護するから、早く勇者様の後ろに向かって走るんだっ!!」


「ご、ごじがぬげでっ…ばじれないでずぅ…」


腰が抜けたとかお前さぁ…!!

一応は何度も死線をくぐり抜けてきた、勇者パーティーのメンバーのはずだろうがよぉ!!

安全な場所でいっつも傍観ばっかしてたから、いざって時にそうなるんだっつのぉ!!


「くっ!! なら……絶対に暴れないでよっ!! 下手するとあたしが振った剣に当たるからっ!!」


「びゃいぃ!! あびがどうございまず…!! あびがどうございまず…!!」


ゴリ聖が聖女を脇に抱えてこちらに戻ってくる。

もう本当しんどくなってきたから、はよ…。


「勇者様!! 勝手な真似をしてゴ、痛ッアァ!? くっ…!!」


「ゴ、ゴリ聖っ!!」


ゴリ聖の脇腹を空中でぶった切ったはずの卑猥な触手が抉っていきやがった!!

クソッ…もう俺のすぐ近くまで来ていたってのに…!!


「ヒィャアアアァァ…!!!」


体勢を崩したゴリ聖に投げ飛ばされて、俺の背後にゴロゴロと転がっていった聖女の事はどうでもいい!!

今は勇者ポロリの毒が回る前に、ゴリ聖の傷をなんとかせねばっ!!


「ゴリ聖ぃぃ!! 我慢しろよぉ!!!」


「ぐっ!!! があぁぁぁ!!!」


抉られた脇腹の傷口を、更に抉るように斬撃で切り取る。

確実に内臓も傷つけてしまっているが、勇者ポロリで確実に死ぬよりはマシだと思ってくれ!!


「ぐ、 ハァ、ハァ…あ、りがと、勇者様…」


よし!!

結構ザックリと切り取ったし、抉られてすぐに処置したからきっと大丈夫なはず…うん、信じるしかねぇ!!


「ゴリ聖ぃ!! 無理してでも急いで俺の後ろに行けぇ!! そんで聖女に傷を回復してもらうんだぁ!! 」


聖女にゴリ聖を回復して貰って、ゴリ斬撃が戦線に戻るまでは気合いで超超飛ぶ斬撃連打だオラァ!!


「…ハァ、ハァ、ハァ…くっ!! せ、聖女…か、回復を、おねが、い…」


「ごべんなざいごべんなざいっ!! まりょぐがもう、ぼどんどないのですぅ!! いまのわだじじゃ、ぎやずめでいどのがいぶぐじがぁ…!!」


「…し、仕方、ない、かぁ…。あれだけの、怪我や、バリア…に、使えば、まり……く…っ……ガハッ…」


「ごべんなざいぃぃ!!!」


ゴリ聖、意識を失い大怪我で戦線離脱。

聖女、魔力ゴミカス状態でメソメソ。

回復薬なんかは…イケメンの空間収納バックごと裏ボスの中…。


「…うっわ、こりゃ確実に詰んだっぽい」


まぁ、そんな気はずっとしてたんだけどね…。

はーあ、なんとかワンチャンあればって思ってたんだがなぁ…。


「…まぁ、それでも限界まであがくけど」


背後でメソメソと泣きながら気休め程度の回復をゴリ聖に必死にしている聖女と、血の気が失せてきて勇者ポロリ関係無しにヤバそうなゴリ聖を横目に、超超斬撃ラッシュに突入。


…もって10分ってとこかな。

それまでに打開策が浮かばなければ、死ぬ覚悟を決めるしかない。


(フェッフェッフェッ…勇者よ…大ピンチのようじゃなぁ…)


「そ、その声は魔王のジジイ!? 生きてやがったのか!?」


「あ……あひゃひゃひゃ…♪ ゆ、ゆうじゃざまが、げんがぐみえばじめじゃったお…♪ もうだめぼ…♪ あーあ、まえでもふぁっくしてみたかったなぁ…♪」


あらら、聖女がもうだめぽ。


「幻覚なんか見えてねぇわ!! 幻聴なら聞こえてるかもだがなぁ!!」


(…幻聴ではない!! わしは死んだ後もお主等が面白そうな事をやっておるから、気になって気になって成仏できずにいた魔王の魂じゃ!! 結構ギリギリな状態なんじゃが、なんとか頑張ってお主の魂に話しかけておる!!)


「ああそうですかっ!! んで用件は何だよジジイっ!!」


(フェッフェッフェッ…。なに、この状況を打開する方法を教えてやろうと思ってのぅ…)


「…マジでっ!?」


(マジじゃよ…。その代わり、お主には新たなる魔王になってもらうぞい…)


「俺が、新たなる魔王に…!?」


(フェッフェッフェッ…まぁ、勇者としてのプライドが邪魔して…)


「おっけー!! 死にたくないからさっさと教えろや先代!!」


死ぬくらいなら勇者のプライドとかどうでもいいっす。

つーか、勇者のプライド?

なにそれ美味しいのって感じ。


(…話が早くて助かるのぅ。ではお主にはわしの体に隠された、魔王の核を体に取り込んで貰うぞい…)


「魔王の核ぅ!? なんじゃそら!?」


(ほれ、わしの額に張りついとった、あの魔石みたいなヤツじゃよ。1つは今そこの異形が取り込んでしまったみたいじゃがのぅ…。フェッフェッフェッ…核の力が暴走しておるわい…)


…やっぱりそれが絡んでたか。


「そんなん取り込んだらっ!! 下手して俺もそこの物体Xみたくなんじゃねーのか!?」


(大丈夫じゃよ。あの異形はともかく、普通の人間が取り込んでも魔族に体が作り替えられる程度じゃ。何を隠そう、わしも魔王の核を取り込んだ元人間じゃからのぅ…。1000年前に過去の勇者が…)


「へー、あんた元人間だったのか!! その辺のくだりは別にどうでもいいから、さっさとその魔王の核の在りかを教えてくれや!!

じゃないと取り込む前にマジで死ぬから!!」


(なんじゃい、つまらんのぅ…。それじゃあ、そこにわしの体が転がっとるじゃろ? 股間にぶら下がっとる袋の中に入っとるから、そこから取り出して飲み込むんじゃ)


「嘘つきぃ!! そんなの魔王の核じゃなくてキャンタマじゃねーかっ!! テメーこのクソジジイ!! 成仏する前の最後のあがきで俺をバカにしてやがんだろぉ!?」


(嘘ではないのじゃ!! あの男性器は魔王の核を隠す為のダミーなんじゃよ!! 魔王はアレを次代の魔王や魔族達の為に、破壊されないように守らなければならんのじゃ!! 核は1人に1つしか取り込めんから、残りは信用できる者に取り込ませるのが普通なんじゃけども…。あの核は先にイっちまったわしの旦那達の形見でなぁ…。簡単に次の者へホイホイとは渡せんかったのよ…。ほれ、お主とてまさか大事なモノをそんなところに隠してるとは思わんかったじゃろ? わしは胸がまな板じゃったから、知らんヤツにはジジイのふりをしてもいけたわけじゃ…。あ、わし胸はなくとも、締まりはグンバツで…)


「話が長いっ!! そんで汚ねぇ!! つーかテメーババアだったのかよ!!」


(フェッフェッフェッフェッ…そうじゃ、わしはババアなんじゃ。あのダミーの立派な男性器は、何度もわしを悦ばせてくれた爺さんのモノを移植…)


「結局ダミーとか言いながらブツ自体は本物じゃねぇかよ!! もういい!! ババアの長話のせいでマジもう限界だわっ!! もし騙されてようと関係ねぇ!! 核でもタマでも飲み込んでやらぁ!!」


(フェッフェッフェッフェッ♪ 次代の魔王よ、頑張るんじゃぞ…!! あぁ、そうじゃ。そこで死にかけておるゴリラ女じゃが…。そのゴリラ女にも核を取り込ませれば助かるじゃろうよ…。核は袋に2つ入っておるでなぁ…)


「へぇ!! 良いことを教えてくれてありがとうよっ!! …ん? ちょっと待てババア…あんた今、ゴリラって…」


こっちの世界に、ゴリラはいないはずじゃ…。


(フェッフェッフェッ…!! ほなバイナラ…♪)


「おいババアっ!! お前絶対元日本人だろ!? おい!? ババア!! 返事しやがれ!!」


……チッ。

もう成仏しちまったか…。

うし、魔王が同郷の人間だったのなら、今の話がガチなんだと本気で信じれるような気がするぜ!!


そんじゃ最後に全力の斬撃を裏ボスにおみまいして…袋から入手した核を、飲んで飲ませるとするか!!


「ドウラァァァァッ!!!!」


『ヂンッ!? ま゛んヂョォォ!!?』


よし…!!

もう、少し移動するので精一杯くらいしか力は残っていないが、裏ボスをザックリ十個くらいにカットできた…!!

どうせくっつくんだろうが、これで暫くは時間を稼げるだろ…!!

今のうちに魔族特有の青い肌をしたババアのキモい死体に近づいて、袋の中身を…!!


「……うっしゃあ!! 本当にあったぞコンチキショウ!!」


袋を開封するのに、男として少しヒュンと嫌な気持ちになったけど…これで死なずにすむ…!!

あとはこれを飲み込んで…!!


「…うえっ…血生臭っ…」


だが、体の奥から何やら熱く漲るモノを感じるぞ…!!

これは期待できそうだ!!

手遅れになる前に、ゴリ聖にも早く飲ませなければっ!!

最後の力を振り絞って、ゴリ聖まで腕ジャンプ…!!


「おいゴリ聖!! これを飲み込めっ!!」


「……………」


あ、意識不明なの忘れてた。

どうしよ、口の中に無理矢理突っ込んでも飲み込むとは限らないし…。


「ええい面倒だ!! ともかく体の中にブチ込めれば問題無いだろ!!」


抉れた腹の中に直接ブチ込んだらぁ!!


「あひゃひゃひゃ♪ ゆうしゃがまおうのきんたまくった♪ けんせーははらにきんたまいーれた♪ うひひひひひひ…♪ キンタマニアーナッ!! イェイイェイイェイ♪」


…聖女、マジで頭イッちゃったかもな。

目の焦点合ってないし。

まぁこんな状況で頼りの綱の勇者が独り言を言ったり、魔王の股間のモノをイジくったりする姿を見たりなんかしたら、頭のネジが全部抜けちゃうのも仕方ないか…。


「…ん? …あれ? …コレやべぇかも…」


どうしたことでしょう。

体の奥から熱く漲るモノが、すっごく痛い感じに変わって…キタァァッ!?!?


「ウ、ウッ、ウゴゴゴゴゴッ…!!!!」


「アバババババババ…!!!!」


ンホォォォ!!!

身体中の色々なモノがぶっ壊れちゃうよぉぉぉ!!!!

腹に核をブチ込んだゴリ聖も…泡吹きながらアバってるのぉぉぉ!!!!


「うひ♪ あへあへゆうしゃ♪ あへけんせー♪ わたしもあへあへしたーいなっ♪ おっきなぼーを、さーがそ♪」


あへぇ…。

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