1・31 ZTF彗星 @丹沢湖

今週の5日間の勤務を終えた1月30日、僕の心は決まっていた。


『行くしかない!』


1月下旬から2月上旬にかけてZTF彗星が地球に接近する。光度は5等級ほどで、街明かりのない場所でなら何とか肉眼で見えるかもというレベル。ただ、久しぶりに登場した明るい彗星ということと、ネットにUPされたその緑に輝く姿が僕の気持ちを昂らせていた。

が、しかーし、ZTF彗星を見るにはとても大きな問題があったのである。地球から見ると北極星の近くでピークを迎える。つまり北の空……。僕の住む街からは世界有数の大都市東京が不夜城よろしく深夜でも煌煌と強烈な光を放っているのだ。

いかに街明かりから遠ざかるかが、彗星攻略の最大のポイントとなる。

北側が暗い場所。そうなると東北道、関越道、中央道で東京を離れればいいのかもしれない。

そう考えた僕に新たな難問が襲いかかる。路面凍結だ。

先日も箱根で痛い目にあったのだが、この時期氷点下は当たり前。溝も少なくなった愛車のタイヤではリスクが高すぎるのだ(だったらスタッドレス買えよ😆!!)


「えーい、いっそのこと南伊豆へ!」


とも考えたが、ここにも大きな壁が立ちはだかる。残りHPである。

いくら僕が永遠の25歳といえども、膝と腰に爆弾を抱え疲れの溜まりやすいお年頃である(イミフ😅)

月末の激務を終えた状態では残りHPは風前の灯だ。

あぁ、こんな時に魔法石があれば……🤔


というわけで諸々を考慮した結果、アクセスもよく土地勘のある御殿場へと向かった。


彗星はほとんどの場合モヤッとしたシミのように見える。そのため街明かりだけでなく月明かりも避ける必要がある。この日は深夜2時過ぎに月が沈むので時間的に余裕があり、ゆっくりと車を走らせる。

西の空低いところに月が輝いている。所々で正面に見え、月に向かってアクセルを踏みこむ感じが心地良い。車のスピーカーから流れてくるヨルシカの楽曲が疲れた日常から僕を解き放してくれた。


御殿場某所に到着。ドアを開けた瞬間に強烈な冷気を感じた。

覚悟を決めて「えいっ!」と気合いもろとも車から降りた。顔がピリピリする寒さだ。空を見上げる。そこには満天の星が、見え……ない!!

次第に暗闇に目が慣れてくると、空がほぼ全面に渡って雲に覆われているのが見えてきた。そう、御殿場は雲が出やすいのだ(僕の経験によるもので、あくまで個人の感想です☁️☁️☁️)

「ヤバっ」とひとこと呟いて車に乗り込む。早急に移動しなければならなくなった。

そこで頭に浮かんできたのが丹沢湖。随分と昔に仲間と星を見に行ったことがある。

「ま、何とかなるっしょ」

この辺は経験値がモノを言う。


30分ほど走っただろうか。丹沢湖に到着。ただ駐車場はどこも閉鎖されていて観測に適した場所が見つからない。気がつくと丹沢湖を通り過ぎ、中川温泉まで来ていた。ここは信玄の隠し湯と言われている名湯。息子が小さい頃に一緒に来たことがあり、彼が露天風呂デビューした思い出の温泉だったりする。

懐かしさを感じながらも「違う違う、そうじゃ、そうじゃなーい!」とUターンし、低速で走りながら適当な場所がないか探しながら走った。

しばらくしてナイスな場所を発見。車から降りると周りを山に囲まれてはいるものの北斗七星と北極星が見える。「これなら大丈夫なはず!」5センチ7倍の双眼鏡を取り出して北の空にレンズを向けた。北極星を視野に入れ、そこから左斜め上に動かすとあっさり恒星とは違うモヤモヤした彗星が見つかった。

冬の澄んだ空気の中で淡い緑色がとても美しい。尾は見えないが微かに左上に伸びてるような気がした。

寒さにへこたれて望遠鏡を出すのは断念、代わりに双眼鏡にスマホを取り付けて撮影をした。うん、きれいキレイ。

彗星は数年の軌道で太陽を回るものもあるが、多くのものは一期一会。二度と戻ってこなかったり、人の人生より長い周期だったり。だからこそ美しく見えるのかもしれない。


丹沢湖の空は満足できるレベルでまた行ってみようかなと思った。周りを山に囲まれているので視界は限られるが、仮眠してから中川温泉で疲れを癒やすなんてのもありかな。



というわけで近況ノートに画像を貼っときますのでよろしかったらご覧くださいませませ。

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