大罪の大魔導

はんぶんこ

プロローグ

魔導師。


それは人々の希望であった。


かつてルエズ大陸に住む人々を脅かしてきた魔を退けた希望の光。


初代魔導師はこう言った。


「魔導は魔を撃退するための力ではない。神が人類にもたらした生き抜くための力であり、民を守るための力である」


と。


初代魔導師が偉業を成し遂げた後、多くの人々が彼に憧れて魔導師をめざすようになり、魔導師の数は急激に増えていった。


人は生まれた時に魔力があればその魔力の形質に相応しい二つ名を神から与えられる。


それを 『魔力名フォルカスネーム』 と言う。


神から名を与えられたものは魔導師になることができる。


しかし、誰もが魔導を正しく使うというわけでもなく、もちろん悪用するものも増えていった。


そういった者達は犯罪者として闇魔導師と呼ばれた。


しかし犯罪を跋扈させておくわけにはいかない。


そこでそれに対抗するべく作られたのが冒険者魔導師である。冒険者魔導師は闇魔導師を捕まえるのはもちろん、時々森などに現れる魔獣の討伐など、いろいろな仕事ができる。


だが…冒険者魔導師が作られて早200年、闇魔導士の数は減少するどころか増える一方で、冒険者魔導師の質は年々落ちてきている、と言うのが現状である。


ルエズ大陸を統一しているハトリア家の王室はこの問題のことで日々口論を繰り広げている。闇魔導師をどう抑えるのか、冒険者魔導師は何をしているのかと。

そういった議論が続くこと数年。止まっていた歯車が遂に動き出す。


いい加減に痺れを切らしたのか、ハトリア王家筆頭の第一王子ライル-エル-ハトリアがした発言で大陸の秩序が大きく崩れることとなる。


「冒険者魔導師など廃止してしまえ。俺の直属の駒にしてやる。奴らの自由なんぞ心底どうでもいい。俺が最強の魔導騎士団で犯罪者どもを葬ってやろう。おい参謀、無能どもを王都に集めろ、一人残らずだ。逆らう者は敵だ。」


王家一族は保有魔力が高いため実質魔導師たちのトップということになる。

故にその発言力は極めて高い。



——バサバサバサァ!


その日ルエズ大陸の全冒険者魔導師に伝文書鳥メッセージバードが飛んだ。


これがある魔導師たちの運命を大きく変えることとなる。



———これはその魔導師達の物語。







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