「鼻毛」と「母」

 まず、私の人生を狂わせたのは、間違いなく『生みの母』だろう。


 出産しても父親と籍も入れず、私を置いて行ったらしい――と、

 そう伝えられているが、私が思うに、どうしようもない馬鹿な鼻毛男だから結婚もしたくなかったのだろうし、出産も望まなかったのではないだろうか?


 生みの母親には一度も会ったことがないし、未だに名前も顔も知らない。


 ただ、一度はどんな顔をした人間なのか会ってみたいと、頭の片隅で思ってはいるものの、最低を遥かに超えた鼻毛にもならない以下の人間だったら、ショックと言うより、腹が立つのではないだろうか? という不安の方が大きいのが本音だ。


 どちらにしても、母も父も間違いなく最低な人間だ。


 


 

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