2.SNSで助けてもらおう!

耕二こうじ? 耕二なのか!? お前どこにいるんだよ!』


 ツブヤイッターに書き込んだのは、俺の友人・健吾けんごだった。

 おー、ちゃんと繋がってるんだな。

 でも相変わらず圏外だけど。


『よう、なんか異世界に連れてこられたみたいだ。どうしたら良いのか分からないから、今呆然としてた』

 

 ポン


『はぁ? 何ふざけてんだよ、どんだけ心配したと思ってんだよ! 半年も音沙汰なしでよ!』


 ……半年!? 俺って半年も居なくなってたのか!?

 慌ててスマホのカレンダーを見ると、あ、本当だ。


『あっはっはっは、そんなの俺に言われても知らん!』


 ポン ポン

 ん? 二回なったぞ?


『ふざけるのはいい加減にして、本当にどこにいるんだよ』

『耕二君!? 耕二君無事だったの!?』


 お、今度は陽菜ひなが来たか。

 健吾けんごといい反応が早いな。


陽菜ひな、今健吾とも話してるからそっちに来てくれ』

『いや、本当に異世界らしいんだ。俺にも詳しい事情はわからない』


 ふぅ、ほんと、なんで俺はこんな場所に居るんだろうな。

 って、変な実験に付き合わされてるからか。

 いやいやまてまて、実験は良いとして、アイツは誰だよ。


『ほっほぅ? あくまでも白を切るつもりか。なら異世界に居る証拠を出してみろ』

『耕二君、アニメとか好きだったっけ?』


 いや証拠って言われても……アニメ? なんでアニメが出て来るんだろう。

 証拠証拠……写真って取れるのかな。

 スマホの写真アプリを起動させようとしたが動かなかった。

 ダメか……ん? ツブヤイッターには撮影機能があったはずだ、そっちはどうだ?


「あ、動いた。なるほど、アイツが用意したアプリしか使えないっぽいな」


 取りあえずはツブヤイッターで森の中を撮影し、俺の自撮り写真も撮る。

 ギャルっぽく顔の横でピースしておいた。

 投稿……っと。


『どこだよそこ』

『そこ、どこ?』

『だから異世界だって』


 異世界にいるって言われても理解できるはずないよな……俺だって未だに信じられないし。

 とはいえ、俺は死にたくないからスマホを使って生きていかなきゃいけない。

 他のアプリも確認しておくか。


 えーっと通販サイトは世界規模で有名なアメイゾンか、えーっと他には……あれ? アイコンが暗転してて使えないぞ?

 え? 暗転が四つもあるんだけど、使えないんじゃ意味ないだろ。


 ポンポン


『おい、お前本当にどこにいるんだよ、そこに写ってる木、検索しても該当する樹木が無いんだけど!?』

耕二こうじ君お願い、電話に出て、声を聴かせて?』


 俺はホーム画面のスクショを撮ってツブヤイッターに投稿した。


『圏外なのになんでツブヤイッターが出来るんだよ!』

耕二こうじ君……本当に、本当に異世界に行っちゃったの?』

『そうらしいぞ?』


 そこから暫く返信が無くなった。

 そりゃそうだろうな、友人が『異世界に来ちゃいました、テヘペロ』なんて書きこんだら、頭がおかしくなったのかと思うよな。

 友人がいなくなったのは残念だが、今は何とか……ん? スマホの画面に何か表示されたぞ、なになに……


「バッテリーが少なくなりました、省電力モードに切り替えますか? へー、バッテリー切れか……!?」


 バッテリー容量が二十パーセントを切っていた。


「ほわぁあああ!? ちょっと待てよ! スマホが使えなくなったらどうしたら良いんだ!? バッテリー! 電池! コンセント!!」


 おいおいおいおいおい、オイ! 俺何にも持ってないじゃないか! スマホが物言わぬ箱になっちまうぞ!


『急募! 異世界でスマホを充電する方法!』


 誰か、誰か教えてくれ! バッテリーが切れてもスマホが使える裏技を!

 ポンポンと音がして、急いでスマホを見る。


『アメイゾンのアイコンがあるけど、通販とか使えるのか?』

『そこってアメイゾンが使えるの?』


 二人から同じ返事が返ってきた。

 アメイゾン? そういえばアイコンがあったけど……!!


「アメイゾンの画面だ! えっと? アメイゾンが使えるとしたら……モバイルバッテリーだ!」


 検索して容量の大きなものを購入した。

 ふ~、これで一安心だな、後は届くのを待てば……!!


「どうやって届くんだよ! ここは異世界だぞ!!」


 地面に両手をついてうな垂れると、スマホからポンと音がした。

 ああ、アイツらが書き込んだのかな……はぁ、使えませんでした報告するか。

 あれ? アメイゾンのアイコンの右下に、赤丸の中に1って書かれてる。


 アメイゾンのアイコンをタップすると、アメイゾンのホーム画面に『お届け物が1つ届いています』と書かれていた。

 こんな表示は見たことがないぞ……お知らせ機能なんてあったっけ?

 いやそれよりも、お届け物? どこに?


 何気にお知らせをタップすると、商品の一覧が表示される。

 その中に注文したモバイルバッテリーが入っていたから、モバイルバッテリーをタップする。

 するとすると画面が切り替わり、スマホ背面のカメラ画面になった。


「え? なんだこれ、えっと? 『どこに置きますか?』だって? どこって、じゃあここ?」


 画面内に四角い枠があったから、俺が座っている横の地面を画面に映して四角い枠をタップする。

 すると画面内に小さな箱が現れた。


「え? まさかヴァーチャル買い物とか言わないよな? 画面上だけでお買い物気分を味わえます、みたいな」


 スマホをずらすと、そこには箱が置いてあった。


「マジか!」


 急いで箱を開けると、中には間違いなく注文したモバイルバッテリーが入っていた。


「マジもんだ……本当にアメイゾンで買い物ができるんだ」

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