第19話

〈伊織視点〉








「・・・・・・ねぇ・・・」





ユウ「・・・・・・・」







呼びに来たスタッフが喫茶店から

出て行って10分位は経つと思うけど

彼は手を握ったままずっと黙っている…






いくら奥の席とはいえ…

段々と恥ずかしくなってきて手を離そうと

引っ張ってみてもギュッと強く握られていて

ビクともしない…







「・・・・・君さぁ・・・」





ユウ「・・・名前…」





「えっ??」





ユウ「・・・紙に書いてあるだろうが…」





「・・・・・・・・」





ユウ「・・・・名前で呼べよ…」







恥ずかしいのか首の後ろに手を当てて

顔を下に向けている…



(癖かな??前にもしてた気がする…)






「・・・・・・・・・」





何も言わないまま彼を観察していると

不安になったのか、ゆっくりと顔を上げて

目を合わせてきた…






ユウ「・・・・・・・」





「・・・・可愛い所もあるのね?笑」





ユウ「・・・・・おい…」





「あっ…また生意気な目…」





ユウ「・・・・チッ・・餓鬼扱いかよ…」







機嫌を悪くしたのか舌打ちをして

壁側に顔を逸らす彼はいつもの失礼な感じでは無く

どちらかと言うと生意気な…

本当に年下の男の子って感じがした…





手を握ってからは

さっきまでと違って急に口数が減ったし

彼なりに緊張していたのかなと思った…





正直…今まで年下の彼氏はいなかったし

どう付き合っていいのかも分からない…





( でも… なんか可愛い…? )






そう思って、彼の頭を右手の人差し指で

ツンツンとしながら





「・・・宜しくね…ゆう…君?」





そう呼んだらまた生意気そうな目を

コッチに向けてきて






ユウ「・・君つけんなよ…」






「・・・・・・・・・」







やっぱり年下は面倒くさそうだなと思った…





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