第5話 友との再会

その青年こそが一之瀬だったのだ。冷静に考えてみればこいつも転生してたんだったな。


「おうあんちゃんの知り合いか?」


野次馬が絡んでくる。急に叫んだんだから頭おかしい奴と思われてるよな。


「腐れ縁だよ」

「おう大丈夫か?クロマの奴かなりの腕っ節だぞ助けにいった方がいいんじゃないのか?」


この赤髪で義手のあなたの方が強そうなんだけどな。


「まぁ放っておけばいいだろう喧嘩に口出しはご法度だしな」

「ハッハッハ野暮な話だったな。気に入った俺はロイだお前は誰だ?」

「あー俺は朔夜だ」


この陽気なおっさんの正体を知るのはまた今度の話。そんな話をしているとついに双方武器を取り出した。クロマの方は烈火の如く燃え盛る大剣を取り出した。一之瀬を鑑定したところゴミスキルと神器等を多数所有していたのでおそらくあいつが全部持っていったんだろうな。


結果は速攻でついた。一之瀬の大振りをクロマが弾こうとして大剣を横に構えたのを大剣ごと斬りつけた。血飛沫が上がり周りの人が早急に回復魔法をかけるとみるみる傷口が塞がっていく。


「クロマも衰えたな」

「あのガキどんな力してんだよ」

「武器が強いんだぞ」


おそらく鑑定持ちだろう俺は鑑定遮断できるから怪しまれる危険性はないだろう。


「おい兄ちゃんちょっといいか?」

「珍しいスキル持ってんじゃねーか」

「うちの『スカーレットスラッシャー』に来ないか?」

「おいずりーぞ『鉄壁の障壁』に来てくれ」

「あいつ初心者なのにもうギルドからスカウトされてるぞ」


少し一之瀬に対する賞賛が落ち着いてきたところで話しかけることにした。


「おい一之瀬元気してたか?」

「ん?朔夜じゃねーかお前も転移していたのか!」

「あ、あれ?どうして《我が魔眼に見えぬものは無し》でステータスが見えないんだ?」

「なんだよそのやばいスキルは」


おそらく俺の鑑定遮断によるものだろう。それにしてもダサいな鑑定の下位互換だし。とりあえず依頼されたものを納品してから飯を食いにいくことになった。


・・・


「この肉うまいな」

「それお前が納品してたうさぎの肉だぞ」

「ちょっと罪悪感が」

「異世界だからな。ところでお前はどんなスキルを持ってる?俺はなあまってたスキル全部と神器全部もらったぞ」


ここで本当のこと話したらやばそうだな。


「俺は影魔法と空間収納、身体強化の3つだ」

「なかなか強そうだなところでお前はいつ転移したんだ?」

「今日死んで転移したばかりなんだ」

「俺は昨日だから俺の方が先輩だな敬うがいい」


そういうと一之瀬は持っていたここでいうビールのようなものを飲み干した。


「お前未成年なのに酒飲んでいいのか?」

「先輩として教えてやろうここでは15歳で成人なんだよ」


そんな感じで飲み食いしてたら(俺は酒飲まなかったがな)一之瀬が酔い潰れたので支払いを済ませてこいつの宿に送って俺も同じ宿を取った。ちなみにこいつの鍵は《完全解錠マスターキー》で開けた。部屋に戻ると俺は死んだように眠った。

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