隠れた存在 #9

心愛「せ、先生!?!?」


りく先輩「おい。やめろって。嫌がってんだろ?」


??「あ〜つまんない。なんでこんないいタイミングで来るの〜。」


先生「はぁ...はぁ...助かったよ...」


濃ゆく塗られた口紅が先生の口につき必死に自分の袖で拭きあげる先生。


心愛「あ、あの...」


??「えぇぇ!超可愛い!何この子!!たまんない!」


そう言うとその女の人と目が合うなりヒールをカタカタ鳴らし走ってくる。

近づいてきたかと思えばいきなり思い切り抱きしめられた。


心愛「んんんっ!くふしいでふ(くるしいです)!」


りく先輩「ほら、やめろって。困ってんだろ?」


そう言ってりく先輩が止めると私から体を離す女の人。


??「りくは相変わらず素っ気ないな〜。また身長伸びた?あれ?私身長縮んだ!?」


りく先輩「お前はそんな高いヒール履いてんだろ。」


心愛「あ、あのっ...!」


担任「ごめんねいきなりこんな姿見せちゃって...ゴホッ...」


心愛「えっと...大丈夫ですか...?」


??「あ、私ね、日向ひなた はな!20歳!れんの義理の姉!よろしくね♪」


心愛「れ、れん先輩の義理の...!?」


りく先輩「れんとは母親が違う。前にれんが好きだった相手。」


心愛「!?えっと話が...あ、私、篠崎心愛です。よろしくお願いします!」


先生「ほら、そんなとこで話してないでこっちおいで〜。ご飯好きなの食べて♪」


華「やった〜!!」


先生「お前はさっきも食べただろ...」


メニューを選んで待っている間に詳しい事情を聞く。


心愛「えっと...」


りく先輩「頭混乱するよねっ。えっとね、れんの親1度離婚してて再婚相手でこいつと母親が違うから、れんの義理のお姉さん!でもれんは抑えらんなくて華のこと好きになっちゃってね...でも華が...」


華「あ〜んな堅苦しい真面目な弟、相手にするかっ!そういえば昔りくも私に言いよってきてたよね?」


心愛「り、りく先輩も...!?」


りく先輩「あ〜、それは違うよ。れんが狙ってる相手だから奪ってやろうって思っただけ〜。でも初めてだったよ、何言ってもなびかない女。もう女とも思えねーけど。」


心愛(あれ...?華さんに話す時、言い方が違う...?これがりく先輩の素なのかな...?)


華「え〜そんな言い方ショック〜。りくなら慣れてそうだし少しくらいならって思ったんだよ〜。でも年下興味なくてさ〜♪」


心愛「あ、あのっ...さっき先生に...その...」


華「あ、ぶっちゅ〜ってキスしてたこと??私先生のこと大好きなのにいつも断られんの〜...」


心愛「せ、先生って...」


華「れんのお兄ちゃんみたいな人だからついでにずっと家庭教師として先生に勉強教えて貰ってたんだ〜」


心愛「な、なるほどです...」


先生「ほらできたぞ〜。好きなだけ食べろ〜。俺も腹減ったから一緒た〜べよ♪」


華さんがいるからか前よりも大きなお皿に色んな料理が並べられた。


りく先輩「お前はもっと仕事しろよ...」


心愛「りく先輩も先生のこと昔から知ってるんですか?」


りく先輩「知ってるよ〜っ!でもれんの方が気が合うみたいでね〜。僕はこいつよりれんのが好き♪」


先生「お前!酷いぞ!あんなに面倒見てやったのに!それにしても篠崎ちゃん?昨日はれんで今日はりくって...やり手だねぇ〜??」


心愛「ゴホッ...ゴホゴホッ...」


急に言われた言葉にびっくりして食べていたサラダがつまりむせてしまう。


りく先輩「だ、大丈夫!?ここちゃん!?」


隣に座っていたりく先輩が背中をさする。


先生「ごめんごめんっ。だって昨日は仲良さそうにれんの部屋に帰ってったでしょ?でも今日はりくと恋人繋ぎ!りくが女の子と遊んでんのは散々みてきたけど女の子と2人でいてこんな僕僕〜って猫被ったまんまのりく珍しいな〜って」


りく先輩「お前...余計なことを...」


華「たしかに...!心愛ちゃん心愛ちゃん!どんな関係〜??」


何から話していいか戸惑ってしまう。それに猫被った状態が珍しいってことはやっぱり今のりく先輩が本当の姿...?でもなんで私だけ?本当に好きって言ってくれているけど頭が混乱してしまう...。


心愛「そ、そのっ...付き合ってるとかじゃなくて...」


りく先輩「俺がこいつのことが好きなだけ。他になんかある?」


先生、華「えぇぇぇぇぇ!?りくが!?」


心愛「...!!」


先生「まてまて、あのりくが今好きって言ったか?」

華「聞き間違えじゃないよね?明日世界でも滅ぶんじゃない!?」

先生「いや、絶対滅ぶぞ...準備しないと...」

華「私も...死ぬ時は一緒だよ♡先生♡」

先生「ばかっ。やめろっくっつくな。」


りく先輩「あ〜もううるせぇ。俺が誰か好きになるのがそんなおかしいかよ。」


華「だって!今まで遊びだったとしても女の子の前でその人に好きって言ったことなかったじゃん!」


先生「でもまてよ。じゃあ昨日のれんは?あからさまにあの顔恋してたぞ?」


りく先輩「れんもこいつのこと好きなんだよ。だから昨日れんの部屋で2人で襲った。」


先生、華「お、襲った!?!?」


心愛「そ、それは、ちがっ...!」


華「こ、心愛ちゃん!?2人も相手したなら今日は体休めないと!!」

先生「篠崎ちゃん!?大丈夫!?でもいつかは1人に決めないとだよ?日本だから2人も旦那作れないよ!?」


心愛(2人ともさっきから言ってること何かズレてるような...)


りく先輩「もぉぉぉ...やめろ!」


りく先輩は立って隣同士座っている華さんと先生の後ろに行って、2人の頭に拳をグリグリめり込ませる。


華、先生「痛いぃぃぃぃ!!!」


心愛「!?!?」


りく先輩「ごめんな...ここちゃんっ...」


心愛「大丈夫です...それに...痛そうです...」


りく先輩「あぁいいんだよ。華がきたらいつもこんなうるさくなんだよ。」


華「うるさくないし!って痛い痛い!ごめんって〜!」


りく先輩「もう変な事言うなよ?ここちゃん困らせるな。分かったか?」


先生、華「はいっ...」


りく先輩は満足そうにこっちに戻ってきて隣に座り、何事も無かったかのようにご飯を食べ始める。


先生「と、とりあえず、、もうちょっとのんびり話そうか...」


りく先輩「いや。食べ終わったら帰る。」


華「先生?私と2人にならないようにしてんでしょ〜?」


先生「い、いいいい、嫌!?そんなこと!」


心愛「なんかワイワイしてて楽しいです笑」


華「ん〜!!ここちゃん笑ったらもっと可愛い!りく!絶対守るんだよ!この笑顔!」


りく先輩「お前は親かっ。」


その後もワイワイした空間でのんびりご飯を食べていた。


チリンチリーン

先生「あっ。いらっしゃいませ〜って...あ....」


ドアが開く音がして皆が一斉にドアの方を振り向くとそこにはれん先輩が居た。


れん先輩「.....は?」


心愛(や、やばいっ...あのグループメッセージ...私まで嘘ついてることになっちゃう...)


華「れんじゃ〜ん!!」


れん先輩に飛びつきにいく華さん。


れん先輩「ばかっ、やめろっ....」


華「ほらほら!みんなでご飯食べようよ!」


先生「え、えっと、ほら、あの...」


れん先輩「動揺しすぎ。状況みたら分かるから。」


こっちに向かってくるメガネも外して髪もおろしたオフのれん先輩。何も見なかったことにして平然と1人ご飯を食べ続けるりく先輩。


心愛(りく先輩...完全にみなかったことにしてる...どうしよ...)


れん先輩「おい」


私たちの机の前に来ると座っているりく先輩を見おろしながら圧をかけるれん先輩。


りく先輩「なに?」


れん先輩「お前、どういう事だよ。」


先生「ほらほら!ちょっとご飯でも食べてっ」


れん先輩「うるさい。黙ってろ。」


華(れんってあんなキャラだった?雰囲気まで違う...あの二人本気なんだ。)


先生「華、喋んなよ。」


華「分かってるって。」


心愛(ど、どうしよっ...りく先輩と話そうとしてるし先生たちの方にでも行って...)


ガラガラっ


静かな空間で椅子を鳴らし、立って先生達の方へ行こうとした時


グイッ


私の腕を引っ張り席に戻すりく先輩

すると私の頭に手を回し、顔が近づいてくる。


チュッ...クチュ...


いきなりキスをされたかと思えばまた強引に舌が入ってくる。


心愛「んんんっ!」


れん先輩「やめろ!」


近づいてきて私とりく先輩を引き離そうとするれん先輩。りく先輩の力が強くれん先輩はその場で立ち尽くす。


心愛「はぁ...んん...」

(限界...これ以上は...腰が抜けそう...)


華「これ...私たち見ちゃっていいの?」

先生「これ見るの有料レベルだよな...」


小声で話す華さんと先生。


心愛(みんな見てるのに...恥ずかしい...)


するといきなりキスを辞めるりく先輩


心愛「はぁ...はぁ...」


りく先輩「ねえここちゃん。今日俺とも過ごしてどっちの方が楽しかった?どっちの方が好き?」


心愛(いきなりそんなこと言われても...)


れん先輩「やめろりく。心愛が困るだろそんな質問。昨日もそれで困らせてんのにまた悩ませる気かよ。」


りく先輩「じゃあ今日は俺の部屋来いよ。昨日はれんの部屋ついて行っただろ?」


心愛「そ、それはコップの水こぼして制服もこれしかまだなくて乾かせなかったから...」


ビチャビチャビチャッ


心愛「...え!?」


りく先輩「あ〜ごめん。手が滑っちゃった。」


手にコップを持ち、私の制服のシャツに水をこぼすりく先輩。


れん先輩「お前!やりすぎだぞ!心愛おいで。兄貴、タオルちょうだい」


先生「う、うん、待ってね篠崎ちゃん。持ってくるから。」


りく先輩「なに?これで来るんでしょ?俺の部屋」


心愛「き、昨日はタオルもなくて...れん先輩の部屋だったら洋服も一日で乾かせるって...」


りく先輩「そんな理由でノコノコついてくんだ?れん車も呼べるしタオルなんて、届けてっていえば届けてくれる。制服もすぐに持ってこさせることも出来る。そんなことも出来る人なのに?」


心愛(た、たしかに...言われてみれば昨日は焦ってたから気が付かなかった...でも優しさで言ってくれてたし...。りく先輩やってることは酷いけど言うことは間違ってないし、分かんない...)


れん先輩「...!心愛!違う!それは!」


心愛「わかりました!れん先輩の部屋に行きます!」


りく先輩、れん先輩「は!?」


心愛「昨日みたいにれん先輩の部屋にりく先輩も来てしまえば一緒にいられるし...も、もちろん昨日みたいなことは絶対になしで...!//」


りく先輩「はぁ...ここちゃんだ〜いすきっ」


抱きついてくるりく先輩。


心愛「ぬ、濡れますよ!りく先輩!」


りく先輩「僕がかけたんだよ。気にしない。ごめんね。」


れん先輩「心愛ほんとにそれでいいのか?」


心愛「このまんまじゃ寮に戻った時、周りの目は気になっちゃうし、あまり頼って他の方に迷惑をかけたくないし...りく先輩の気持ちもれん先輩の気持ちも分かるし...」


れん先輩「そうか。まあ心愛がそう決めたならそれでいいか。」


先生「篠崎ちゃん。はい、タオル。大丈夫?冷たくない?」


りく先輩「ごめんねここちゃん。」


心愛「だ、大丈夫です...!」


華「そうだっ、待っててね心愛ちゃんっ。」


何かを思い出したかのように急いで外に出る華さん。


チリンチリーン


華「はいっ!私の上着!そんなに透けてたらまたりくとれんに襲われちゃうよ♪」


心愛「そ、そんな...// さすがに悪いです...それにこれ高いブランドの...」


渡してくれたのは有名ブランドの高い夏場に羽織れる薄手の上着だった。


華「そんくらいいいのっ!私モデルやってるからそんなのいつでも手に入るから♪」


心愛「も、モデルですか!? 綺麗に洗って返します!連絡先教えてください!」


華「え〜いいのに〜。でも心愛ちゃんの連絡先貰えるならラッキー!今度2人でご飯でも行こうよ!」


心愛「は、はいっ!」

(なんかお姉ちゃんができたみたいで嬉しいっ...!)


れん先輩「車つけといたからりくと一緒に乗って俺の部屋に来い。俺はバイクだから。」


心愛「あ、ありがとうございますっ...」

りく先輩「こっちで呼べたのに、なんだよかっこつけやがって。」


先生「じゃあ!気をつけて帰るんだよ〜!」

華「またね〜心愛ちゃんっ♡」


お店を出て、れん先輩が用意した車に乗るりく先輩。

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