オーバールックへいらっしゃい!〜高収入美容室に転職したらお化生担当になりました 〜

スミ坊

第1話 『転職することになりました』

「サダハルゥーーーーー!!まだ終わってねぇーのかぁーーーー!!早くしろやー!」


今日のミーティングでもオーナーの怒号が飛び交う……


「すいません……急いでやります!!!」


俺は安堂 貞治(アンドウ ジョージ)

若手ナンバーワン美容師だ。


自分で言うのもなんだが仕事は一生懸命やってるし、指名のお客様も沢山いる。

売り上げだってお店でトップだ。


ちなみに、

名前はジョージだが漢字のせいで絶対にサダハルと呼ばれてしまうことから、

あだ名はいつもサダハルになる……


「おいおい!早くしろよー!サダハルぅ!」


はぁ……


オーナーには鬼のように嫌われているので売り上げに見合った給料は貰えていないし、やたらと難癖をつけられてキレられる……

どうやらお気に入りのお客様と仲良くしているのが気に食わないらしい……


そんな事で嫌わないでくれ……


同期の仲間や後輩たちもそんな俺を助けるどころか冷めた目で見ている……


マジで悲しすぎるぞ……


「お疲れ様でしたー……」


今の職場に嫌気がさしていた俺が転職したいと考えるのは当然の流れだった


そんな時ふと電柱に貼ってある求人広告が目に留まった


『今くすぶってる美容師さんへ!!

当店でこだわり派女性のおけしょう担当して人生変えましょう!研修制度も充実!!おけしょう初心者歓迎!!休日たくさん!!!高収入!!!』


ふ~ん……


メイクはあまりやってきてないけど研修制度もあるならやってみても良いかもなぁ……


休み沢山あって高収入なんて夢のようだなぁ……


ダメ元で電話してみるか!!


トゥル……


ガチャ!


「こんにちは♪オーバールックです♪」


電話の向こうからはめちゃくちゃ若い元気な女の子の声がする


ってか電話取るの早すぎだろ?!

ワンコールすら鳴ってないぞ!


「電柱に貼ってあった求人広告見たんですけどまだ募集してますか?」


「ご連絡ありがとうございます♪ちょっと待っててくださいね♪」


すごいテンション高い子だなぁ


「お待たせしました♪面接したいので今から来れますか♪」


「はい?今からですか?」


「はい♪今からです♪」


今からってもう夜12時なっちゃうよ?

明日休みだし住所を見ても近所だから大丈夫だけど……


「わかりました!今から向かいます!アンドウ ジョージと言います!」


「はい♪お待ちしております♪」



こんな時間から面接ってすごいな!


求人広告に書いてあった住所は歩いても30分かからない程度の場所だったので、

とぼとぼとお店の場所まで歩いていく……

とりあえずズーズルマップで調べてみるか……あれ?

お店がマップに出てこないなぁ?

この辺なのになぁ?

なんて思いながら歩いているとひっそりとした雰囲気の白い建物が見えて来た。


ここか……


近くに来てみると白を基調としたシンプルな今っぽいオシャレ美容室で安心した。


チャリンチャリン♪

扉を開けると昔ながらの心地いい鈴の音がする


中はとても広くお洒落なリビングルームのようだ


「こんばんはー。本日面接をさせていただきます。アンドウです。」


「待ってたぞ♪ジョージ♪ワタシがここの店長のロメロちゃんさ❤︎」


年齢とはかけ離れたセクシーな白い看護士さんのような制服を着た仁王立ちの幼女が元気よく僕を出迎えてくれた


「偉そうにしない!」


ポカン!


真っ青なスーツをバシッと着こなした、160cmくらいの小柄な金髪のイケメンくんが一言言いながら幼女の頭を軽く小突いた


「イテっ♪こういうのは最初が肝心なのにー♪ミーアン嫌い!イーっだ!」


幼女のロメロちゃんはなんだかとても可愛らしい子だ




「あの……面接に来たアンドウ ジョージと言います。こんな夜遅くにありがとうございます。」


「こちらこそ、こんな夜遅くに来てもらってありがとう。僕はオーナーの鴉出 美杏(カラスデ ミアン )!ミアンって呼んでくれていいよ!それじゃあ明日からお願いね♪」



「え?明日からですか?」


「そ!明日から!うちは住込になるから荷造りして来てね♪あっ?!もう今日だね(笑)ハハハハハ!」


「ハハハハハ♪」


ミアンさんとロメロちゃんの2人で笑い声がよるのお店に鳴り響く


なんだ?なんだ?

もう決まっちゃったのか?

転職?!

なんか思ってたのより早くない?!


「えっ?まだ何をどうしたらとかわからないんですが?」


「うん。今日の夜から住込で働いてくれれば大丈夫。そうだ!お給料は先払いしとくね♪はい!お給料!ちゃんと確認してね♪」


ポン


何やら分厚い茶封筒を渡された


「先払いって……」


中を確認してみる


?!


「え?」


枚数がなんかおかしいぞ……


「100万入ってる。今日の夜からよろしくね♪」


「こんなにもらえませんよ!大体先払いして僕が逃げたりしたらどうするんですか?!」


「大丈夫!君は逃げないよ。僕は人を見る目だけは確かなんだ♪」


えー……


ポン!


ロメロちゃんに肩を叩かれた


「ジョージ♪よろしくね♪」


この仕事大丈夫なの?















  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る