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「なんか、凄まじい魔力を感じたのだが」


 フェンが一匹の魔物を口にくわえて戻ってきました。


「おかえりなさい、フェン。魔力の事は気にせず」

「いや、気にするだろう……国が滅ぶほどの魔力だった気がするんだが……」

「もー、フェンは気にしいですね。それよりも、これが獲物ですか」


 フェンがくわえてもってきた魔物はすでに事切れているようです。にしても……これどうやって捌くのでしょう?


「フェン、捌き方わかりますか?」

「わかると思うのか?」


 フェンは魔界の生命とはいえ狼です。知らないですよね。


「困りました。捌き方がわからないと食べれません。あ、そうだ」


 さっきのデーモンロードをもう一度呼んでみましょう。悪魔というのはとてつもなく長命だと聞きます。捌き方を知っていてもおかしくありません。

 さっき呼び出してから少し時間はたってますから、ある程度王国で暴れてくれたでしょうし。仮に暴れ足りなくても、私のご飯の方が大事です。王国への嫌がらせは何時でもできます。


「ということでおかえりなさい、悪魔さん」

「……そこのぽっかり口を開けている狼の反応が正常だ」

「何の話です? それよりも、これの捌き方知ってますか?」

「……この魔物は初めて見たが、まぁ捌けるだろう」

「それはなによりです。では、お願いします」


 悪魔さんにナイフを渡します。ですが受け取ってくれませんね。


「これは契約なのか? また知らぬ内に制限がかかっては困るのだが」

「契約がよければ契約にしますよ?」

「契約内容は?」

「うーん、あ、じゃあ受肉させて上げますからしばらくの間私を助けてください」


 たしか大量の魔力があれば受肉出来るんでしたよね。ということで悪魔さんに魔力を押し込みます。すこし苦しそうですが気のせいでしょう。


「もがっ?!…………こんな簡単に受肉してしまうのか」

「……悪魔公よ、この人間が異常なのだ」

「魔狼……」


 ……あれ? なんで私よりもフェンと仲良くなってるんです?


「あの、悪魔さんの名前は?」

「ない」

「じゃあ……アーさんで。早速ですが解体をお願いしますアーさん」

「……承知した」

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