第13話 間接キス (3日目)
僕達は繁華街の色々なお店を見て回った。この繁華街には本当に色々なお店がある。途中でタピオカを飲んだりもした。もはやタピオカは少し懐かしいような気もするくらい、流行は一瞬で終わってしまうものだ。タピオカ屋なんかは一時はものすごい店舗数あったのに、今ではあまり見かけなくなってしまった。僕はいつも流行に置いてかれて、ちょっと遅れてからそれを買ったりする。タピオカも流行りがちょっと収まってから飲み始めた。流行りの時に飲まなくても、今飲んでも別に普通に美味しい。
「私も飲みたい」
「買う?」
「いや、ひとくちちょうだい」
「え、いいけど」
彼女は僕からタピオカを取り上げて1口飲んだ。間接キスなんかを恥ずかしがる歳ではないけれど、やはり少しドキッとした。
「おいしい」と言って笑う彼女は幼げで可愛かった。女性は本当にこういうの飲み物とかが好きな生き物である。
しばらく歩いて僕達は靴屋さんに入った。最近の靴は履きにくいものばかりだ。見た目が重視されて履き心地の悪いものが多い気がする。女性はよくあんなにも履きにくかったり、疲れやすかったりする靴を履いていられるものだ。いつも大変だろうなと思う。
彼女がヒールを見て「これ可愛くない?」なんて僕に聞いてくる。男の僕には僅かなデザインの違いしかない何足かのヒールを見せられても、なんとも言いようもなかった。彼女はしばらくヒールを吟味して、「今はいいや」といって購入をやめた。
僕達はその後も色々なお店に入って、これほしいとかなんとか言ってまわったが、結局あまり何も買わずに帰ることにした。
バス停に行ってバスを待った。彼女は少し疲れた様子だった。
「疲れた?」
「疲れてないです」
疲れてないと謎のプライドで彼女は反発してきた。しばらくしてバスが来て、それに乗って僕達は帰った。
帰ってから僕は買ってきた服のタグをハサミで切り、試しに着てみた。お店でも試着したので別に着てみなくてもよかったのだが。
彼女は本屋で買ったミステリー小説をベットで読み始めた。彼女が本を読んでいる姿は何となく不自然な感じがする。彼女のダラダラとテレビを見ている姿ばかり見ていたからだろうか。
僕も彼女の横に寝転んで小説を読むことにした。別々に違う本を読んでいるのだが、彼女と同じことをして同じ時間を共有しているという事実がとても幸せに感じられた。本を読んでいる彼女に近づいてくっついてみた。なんのリアクションも取られなかったので、そのまま本を読み続けた。しばらくして僕は眠くなってしまい、僕はそのまま眠ってしまった。
僕は数十分後に起きた。彼女はミステリー小説の150ページあたりを読んでいた。内容が難しいのか、少し困ったような顔で小説を読んでいる彼女が少しおかしくて笑ってしまった。僕も再び小説を読み始めた。日が落ちて部屋が寒くなってきたので、僕はエアコンをつけようと思ったが、暑くなると彼女にくっついていられなくなるのでつけないでいた。
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