第23話

 『ジュネシス』

 一体いつからだろうか?

 彼らが暗躍していたのは。

 近世か?

 中世か?

 古代か?

 人類が文明を築くそれ以前か?

 わからない。

 何もわからない。

 何もわかっていない。

 だが一つ確かに言えることがある。

 彼らは、彼女らは、忌まわしき怪物はそこにいて、世界で暗躍しているということだ。

 『ジュネシス』

 はるか昔から深い闇に潜み、暗躍し続けてきた闇の組織。

 カルト教団と呼ぶほうが相応しいか。

 彼らは人肉を貪り、人身御供、生物の創造などの背徳的な行為を積極的に行うものたちだ。

 人々には理解できない行動を平然と行う怪物たち。

 彼らの目的も組織の規模も何もかもがわからない。

 おそらく暗躍する彼らのことを知っているものは限りなく少ないだろう。

 いや、もうほぼいないと断言してもいいだろう。

 日本という小さな島国の政治家などの偉い者たちは勿論。アメリカや中国などといった超大国の大統領、総書記ですら知らないだろう。

 知っているのはイギリス王室などと言ったようなずっと長く続いている名家くらいだろうか?

 それでも昔の文献などで名前を見かけるくらいでしかないだろう。

 『ジュネシス』はそれだけ深く長く闇に潜んでいるのだ。

 それを単独で見つけたという刹那様がどれほどすごいことか。どれほどの偉業か。どれほどの知謀か。

 私達はあの日、助けられてから5年ほど。

 私はあの日からの5年間ずっと刹那様の元『ジュネシス』の情報を集めていた。

 そしてようやく5年の歳月をかけて『ジュネシス』のアジトの一つを見つけることが出来た。

 10年間暗躍し続け情報を集めても、『ジュネシス』が一体何の目的で動いていて、どれだけの人員と戦力を抱えた組織なのか、トップは何もなのか、幹部は何者なのかわからない。

 今回私達が掴んだアジトの一つだっておそらく『ジュネシス』にとって何の重要性もない小さなアジトでしかないだろう。

 しかし、しかしだ

 今まで何も進展が得られなかったこの状況でようやく進展させるのだ。

 この一歩は大きな意味を持つ。

 あぁ、ようやく。

 ようやく。

 ようやくここまで来た。

 ここまで来れた。

 長い間刹那様を待たせてしまった。

 幼少期の雪辱を果たせる時が来た。

 私は『ジュネシス』に捕らわれていた幼少期を、刹那様に出会ったあの日を思い出した。

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