理想の君は

僕は初めから君を生み出したかった

しかしなかなかこれは難しいのだ


一番目の君は多くを持って生まれたが

 僕の機嫌を損ねたから消してやった


二番目の君は知識ばかりを蓄えていた

 僕に自分なりの論理で逆らったから消した


三番目の君は天真爛漫だが頭が悪かった

 僕の教育を理解しないから消してやった


四番目の君は一切の思考を放棄しようとした

 僕は諦める者が嫌いだからすぐに殺した


五番目は下心を持ち自らの利益を優先した

 僕に媚び諂う下劣さが少し面白かったが

 僕の世界には必要ないから消してあげた



さあ、今日は六番目の君の誕生日となる


さて、君はどんな君に生まれるだろうか

できることなら純粋無垢に生まれてくれ

優しさも恨みも僻みも憧れも愛も絶望も

すべて教えて与えてやるから安心なさい

だから君は 何も持たずに生まれておいで


ただし六番目の君まで面白くなければ

その瞬間、恥を晒すより先に殺してあげよう

僕の機嫌を損ねぬよう気をつけることだよ


さて さて さて


「おはよう 君は誰かな?」

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