可哀想に、可哀想に

ああ まさか 君に自由があるなどと

一体 誰にそんな嘘を吹き込まれたのか

ほら その胸に手を当ててごらん

そしてよくよく思い返してみなさい


僕がこれまでそんなことを言ったかい

そう 言っていない 万にひとつもだ

そんな夢物語を 仮初めにも言うなんて

ずいぶんひどい人間がいたものだね


可哀想に 希望を持ってしまったんだね

可哀想に 姿なき希望など持つものではない

可哀想に それを忘れることも難しいのか


大丈夫 大丈夫さ 君には僕がいるから

僕の力で 全て忘れてしまいなさい


なに なに 造作もないことさ

この白紙の上で君を操ることなど


まさに赤子の手を捻るよりも いや

赤子を産み落とすことよりも 簡単だ


安心したまえ 君に自由などない

安心したまえ 君は僕の言葉のままだ


明確な言葉を君には与えてあげよう

明確な生き方を君には与えてあげよう


それが僕の使命に他ならないからだ


本当につらい悲劇だっただろうね

本当に酷いことをされてしまったね


僕は決してその人間を許しはしない

このアトリエにすすひとつ落とせる人間は

誰ひとりと存在してはならないのだから

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