十月三十五日:投票

「『生物部』が本物の占い師だったってことか……決まりだな、今日は全員『映研部』に投票だ」

『元バスケ部』の声に呆然としていた全員が紙とペンを握る。



『映研部』は平然と周りを見回してから座ると、煙草を取り出して火をつけた。

「あ、悪い奴だ。って今更か」

『文芸部』が横目で見ると、『映研部』は肩を竦めた。

「最後だしいいだろ。中学の頃から吸ってたんだけどな。寮だとバレやすいし、『美術部』と同室になってからは……あいつ喘息だったからさ」


「お前さ、何で昨日『美術部』殺したんだよ」

「さぁ?」と、『映研部』が歯を見せる。


「俺はこれでよかったと思ってるよ。昨日の夜あいつに言われたんだ。これでよかった、明日が来てもお前に投票できなかったと思うから、ってな」

『文芸部』は何も返さなかった。

「吸血鬼はベラ=ルゴシ、フランケンシュタインの怪物はボリス・カーロフ、人狼は……他に比べると地味だよなあ」

 煙だけが細くたなびいた。


【投票結果の結果、本日の処刑は『映研部』に決定しました】


 倒れ込んだ『映研部』の死体はただの人間と何も変わらなかった。


『編入生』は彼の死体を見つめた。

「人狼がひとり処刑できたとして、明日はどうすればいいんだ。『生物部』が人間と言った『文芸部』以外だと、やたら『先輩』に突っかかる『元バスケ部』、『映研部』に人狼と言われた『風紀委員』、後は『保健委員』か……」



 生存者:六人


 占い結果:(○→人間、×→人狼)

『映研部』→『図書委員』○、『元バスケ部』○、『生物部』○→『風紀委員』×

『図書委員』→『文芸部』○、『剣道部』×、『風紀委員』○

『生物部』→『文芸部』○、『剣道部』○


 霊能者結果:

『美術部』→『吹奏楽部』○、『剣道部』○


 処刑投票結果:

『吹奏楽部』、『剣道部』、『図書委員』、『映研部』

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