最強のアサシンになりたくて!

四方川 かなめ

第1話最強のアサシンになりたくて!


[プロローグ]




「クッソッッまた失敗か!」

バンッ!

俺は怒りに任せて、近くの木で出来た机を叩く。


「…痛っ…」


「俺とした事が…机の角にあたってしまったぜ…ふっ…」


できるだけ薄っぺらい机を叩いたハズだったが、思ったより痛かったので、叩いた方の手をもう片方の手で庇うように握る。

「ふっ…まぁ今回の失敗は大した事無いさ…。なんせ俺は最強のアサシンだからな…。まさかの(足がつって目標の保護者に助けられ、そのまま任務を忘れてました)位では怒られはしないだろう。もし怒られてしまったら、バディのせいにすればいいだけ…!

ふっ…なんて簡単な世の中なのだ…!!」

俺は病院の美人看護師さんに貰った車椅子に乗りながら言った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



…暗い。

ここは古い教会の廃墟。

そしてここは、最強アサシングループ

【デスファング】(死の爪)のアジトでもある。


俺は今、バディと共にデスファングの最高指揮官の前に跪いていた。

「…ゆうや。この任務…お前に任せたぞ」

暗くて輪郭すらも見えないが、男の人の太い声が響いた。

「はい!必ずや目標を誰にも見つからず暗殺してみせます!」

俺のその言葉に、周りの先輩アサシン達がざわめく。

(同じ事言ってるぞ…)

(流石だな)

(でもこの任務なら絶対成功するだろ?)

(バカいえお前、あのゆうやだぞ?)

(確かに…まさかの犬の暗殺でもゆうやならワンチャン…)

(大丈夫よ!相手は犬の中でも小型犬よ!いくらゆうやでも成功するわ!……多分)





ふっ…決まったな…俺の名セリフ。


周りのアサシン達の黄色い声援は気にもせず、俺はそれっぽく、暗くて何も見えない天井を見た。


ふっ…何も見えないぜ。




ーーその後

「おいバディ!足引っ張るなよ?」

俺の忠告を聞いたバディは、一瞬俺の方を見て。

「はぁ〜」

とため息を着き、そしてもう一度俺の顔を見て。

「はぁ〜」

と、2回ため息を着いた。


ふっ…不安なのは分かるが安心するんだな…俺がお前のバディである限り、この任務が失敗する可能性はゼロだ。


そう思いながら俺は、バディの肩をポンッと叩き、それぞれの自室へと向かって行った。


ーーそして任務当日。

「ふっ…いい朝だぜ…太陽が俺を呼んでいる。」

俺は寝癖もそのままに、1階の自室の窓から外を眺める。

「…麗しき月よ…この日地球上から1つ、生命が消える。それを見る覚悟が無いのなら…混沌の古(夜)まで目を伏せているといい。俺がすぐに終わらせてやろう…」

そんなそれっぽい事を外の雑草を見ながら言って、俺はガチャっとドアを開け、任務の為外に出た。


…ふっ…俺とした事が…あまりにも小さい事過ぎて忘れてたぜ…。


ふと、自慢の健康志向朝飯を食べていない事を思い出し、1度部屋に舞い戻った。


ーーそして任務。

「ふっ…バディよ…今日はいい天気だな!」

「はぁ…あはは…」

俺の問に、我がバディが苦笑する。


ふっ…無理もない。

これから1つの命を殺めるのだ。

精神的不安もあるだろう。

よし!ここは1つ先輩である俺様が見本を見せてやるとするか…!


そう俺は意気込んで、目標の住む家に屋根伝いに向かって行く。

タタタタタタタタッ

全身を覆っている真っ黒いロングフードが風になびく。

「ふっ…これなら暗くなるまでには終わりそうだな」

俺がタンっ!と、ちょっと遠めの屋根に飛び移りながら言うと。

「冗談でしょ…」

と、バディが小声でいった。

「ふっ…冗談だよ…流石に1日じゃこの任務は大変だな…。1週間かけるか…まぁゆっくりやろうや」

そんな俺の言葉に、バディは「はぁ〜〜」と、何故か深くため息を着いてから。

「……はい………」

と、感慨深く返事をした。



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