第4話 周辺の探索

 魔物なのか野生動物なのかわからないが、どこからか聞こえる鳴き声のようなもので、空がやっとしらみがかった朝早くに目が覚めた。


 17歳の身体は、それはもうすこぶる快調。慣れない草のベットで寝たにも関わらず、ぐっすり快眠出来て、社蓄生活の疲労感なんて全くなく、今日も一日頑張ろうと前向きになれる。


 いう事なし……。 「サイコー!」


 さて今日は昨日寝る前に考えていた、周辺探索から始めることにした。

 おっといけない今日はちゃんと朝飯というなの果物で腹ごしらえをして、行動開始だ。


 同じ失敗はしないのだよ社会人は、今は17歳だけどね。心の中で自分に言い訳しながら、土魔法で塞いだ入り口を壊して探索にGO!


 今日は探索がメインなのだが、当然出くわすであろう、魔物を倒してレベル上げも行う予定。

 此処で生活するにはHPもMPも当然多い方がいいので、レベル上げは必須なのです。神様に優遇してもらってると言っても、努力もなしに生きて行けるわけじゃない。それに、俺は此処で生活はするが別に引きこもりになりたいわけじゃない。


 衣食住を充実させるためには、村や町に行かなければいけないだろうし、お金も必要になるから稼ぐ方法も考えなくてはいけない。


 勿論、神様から教えてもらったこの世界の知識もおおざっぱにはあるけど、あまり多くの人と関わらないようにしながら、常識を学ぶ必要がある。


 なぜ? 関わらないに拘るのかというと、前世の人間関係もあるが、この世界には当然のごとく貴族や王族が存在するからです。


 当然、良い貴族も王族もいるでしょうが、やっぱりどう考えても俺みたいなチート持ちがいると、何某かの繋がりが出来てくると思うんだよね。(前世の異世界物の常識)だから出来るだけ関わるのは少人数にして、絶対に俺の存在が表に出ないようにしたいわけですよ。


 多くの異世界物の主人公の無警戒ぶりに呆れてた自分としてはね。これ絶対なのです。ハーレムなんて当然NOサンキュー、日本人として一人の人を愛するだけで充分なのです。


 まぁ! 半分引きこもりで、人間関係が希薄だとそれすら叶えられるかと言えば、う~~んと言わざるを得ないんですけどね。


 まだ花の17歳、なるようになるさと本人だけが思っているけど、この世界は15歳が成人の国ばかりなので、はてさてどうなることやら……。


 今日は先ずは遠くに見える滝の方向に向かって探索を開始。


 川沿いを鑑定EXを使いながら、この先使えそうな石や植物、食料になるものを収集しながら小一時間移動、ようやく滝に到着しました。滝の上も本当は探索したいのですが今日はここまでにし、この周辺を重点的に探索することに。


 ここまでに見つけた物の中には名前も形も違うのだが、地球と似たような植生のものが存在してることがわかり、それを鑑定EXさんが詳しく食べ方や利用方法まで教えてくれる。


 これもまた後から解ったことだが、この鑑定で教えてくれることにはこの世界ではまだ利用されてない方法も出てくるので注意が必要だったのです。


 これが解った時の俺の用心深さに思わず俺自身を褒めたね。

 本当にあの時は良い立ち回り方をしたとしか言いようがなかった。


 それは何かというと、一つは「砂」何処にでもある極ありふれた砂です。


 地球なら当然誰もが知ってる砂の中の成分でガラスが作れることをこの世界ではまだ知られていなかったのです。


 その代わりに特殊な方法で異世界名物スライムを加工してガラスの代わりにしていたのですが、当然スライムを大量に捕獲するのも簡単ではないので、普及率はほんのわずか、貴族や裕福な商人限定の高級品。


 いやぁ~これには本当に驚きました。町に行った時にガラス窓が極端に少ないのに気づき、その辺を田舎から出てきたおのぼりさんが興味を示してるように装い聞いたことで判明しましたよ。この世界の常識、文明が……。


 異世界の文明にも色々あるんです。小説なんかで細かいことですが少しづつ違っていたりするのと同じように、この世界ではこのガラスがまだ知られていなかったのです。


 食器は当然、木か陶器、銀食器などで、ガラスが何故ないのかとか聞かなかった俺、本当に上手く立ち回ったなと思いましたよ。

 この時には自宅では当然のようにガラス使っていましたからね。窓や食器に……。


 他にも色々発見収集したのですが、それはまたおいおい。

 お金稼ぎには十分な物ですが、自分が表に出ないようにするには苦労しそうな物です。


 滝周辺の探索も一通り済んだので、今度は森の中を通りながら、帰宅(洞窟ですが)することに。


 滝までの道のりでは出くわさなかった魔物が出るわ出るわ、ゴブリンをはじめに、ホーンラビット、スモールボア、とどめにオークまで。


 頑張りましたよほんと、風魔法を駆使して、まだ隠密的な魔法を作っていなかったので、見つからないように神経を研ぎ澄ましたり、魔物がどこから出てくるかわからないので集中してたら何とスキルが生えちゃいました!


 この世界ではこんなに簡単にスキルが生えるのかと思っていたんですが、やはり神様のおかげでした。


 何とか帰宅して、インベントリEXに収納してた魔物を解体して、今晩の食事にしようとした時にインベントリEXの特殊性に気づいちゃいました。解体まで出来ちゃうんですよ……。


 そんなこんなでインベントリも鑑定もEXの凄さが別物でしたから、ここは落ち着いてしっかりと、ステータスを確認することにしました。


 普通そういう事は初めにやる事なのにどうも今の俺は新しい生活に興奮してるのか、全てが空回りしているようです……。



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