第24話 襲撃 1


「よーし! これでデカブツも晴れて我が聖女騎士団の下っ端ってわけだ」


 ニヤニヤと笑みを浮かべながらクラリスがユウヤに近付いてきた。


「あ、ああ。よろしく」


「あ? ……よろしく? よろしくおねがいします、だろ? このデカブツ!」


 そういってクラリスは思いっきりユウヤの足を蹴った。


 だが、そこは巨漢の怪物の足。大木のように大きく、石のように固い足を蹴ったクラリスの足の方がひとたまりもなかった。


「い、いてぇぇぇ! な、なんだよ? お、お前……石でできてんのか?」


「あはは……ごめんね」


「全く、デカイ上に固いのかよ。邪魔くさいな……っていうか、コイツの部屋はどうすんだよ?」


 と、クラリスが思い出したようにリーナとステラに尋ねる。


「確かに、談話室で我らと一緒に寝泊り、というわけにもいかないだろう」


「男の人と女の人が一つの部屋の中っていうのもね……」


 リーナとステラは苦笑いを浮かべる。


 というか、まず、ユウヤの巨体ではそもそも、それが収まる程度の大きさの部屋でなければならないのだ。


「えっと……姫様。俺の体が入るような空間……そんな部屋あります?」


「え? あー……えっと……倉庫なら……」


 倉庫。


 元々あの小屋も倉庫だったのだ。だったら、自分にとっては最もお似合いの場所かもしれない。


「じゃあ、そこでいいです」


「ほ、本当にいいのですか?」


 言った手前ではあったが、さすがにノエルもこの巨漢を倉庫に入れてしまうのはかわいそうに思えてきた。


「いやいや。俺なんかは倉庫で充分ですから」


「そ、そうですか……?」


 ノエルはそれでも納得のいかないようだったが、ユウヤにそういわれては仕方がなかったそれ以上先を続けることはできなかった。


「それでは、まずは鎧だな」


「え? 鎧?」


「ああ。見ろ。私達全員ちゃんと鎧を着ているだろ?」


 そういって自慢げにクラリスが見せてくる。


 確かにリーナだけでなく、ステラも、先ほどの小さな女の子と、本ばかり読んでいる女の子さえ鎧を纏っていた。


 それぞれ身体に合った――小さな虫を怖がっていた女の子だけは別だが――気安そうな鎧を纏っていた。


「だから、お前も鎧を作るんだよ」


「でも、僕に合う鎧なんてあるの?」


「そうねぇ……ユウヤ君ほどになると、やっぱり特注で作ってもらわないと――」


 そういってステラが人差し指を口に当てて考え込んでいたときだった。


「姫様!」


 玉座の間に一人の老人が飛び込んできた。


「どうしましたか?」


「大変です! 門の前に、ヴァレンシュタイン王国の兵士が……!」

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