「……凄かったね…。」


ベッドに並んで寝そべりながら。

窓の外。隣の部屋をふたりで眺める。

ふわふわの癖っ毛に指を絡めれば、猫みたいに目を細めた。





「意外と激しかったね…今の…。」


他人のセックスに興奮気味の恋人は、頬を赤らめ真剣に感想を述べる。

俺は視線を窓に移し、早々と2ラウンド目に突入したソレを眺め、鼻で笑った。





「まっ、初めてであれだけ出来れば上等だな。」


「えっウソ、晴二くんて童貞だったの?あんな凄いのに?」


「あ?あのバカは春流にベタ惚れだろ?浮気するほどアイツは器用じゃねぇよ。」


「そっか~、春流と晴二くんもとうとう身体で結ばれちゃったんだね。」


僕達みたいに。

そう告げて身体を擦り寄せてくる夏津。


俺達ふたりの初夜も、概ねあんな感じだった。

まあ…アイツらよりは、もう少し幼かったけど。






「…何だ、また欲しくなったか?」


誘うような夏津の密着に、ツキンと下半身が疼く。

まぁ、随分前からソレは芯を持っていたんだが…。




「ンッ……」


喉を擽れば、甘い吐息を漏らす夏津。

瞳は節目がちに、俺を平気で奈落へと誘う。


コイツら兄弟は、とことん淫乱体質で。

本能的に俺達兄弟を捕らえてるから。



俺も、魅せられたひとり。

だからといって、誰かに渡すつもりも無い。





「いいぜ、覚悟しろよ?」


弟なんかに負けてらんねぇ…。

夜はこれから。



魅せてやるよ、獣の本性を。



…end.



2010年1月23日.完結

2022年某日・加筆修正。 祷治

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