第3話 アリサの予想

 約束の時刻になった。十六時二十七分。決勝戦の投票締め切り時刻だ。

 アリサの目の前には、あの老紳士・競輪の神様がいた。立川競輪場内には車券を買い求めに多数の客がいる。そんな中で二人だけが隔絶されたような状態になっていた。


「これも神様の力?」

 アリサは自分と神様の近くを通り抜けていく人々に目を向けながら尋ねる。

「まあ、そんなところじゃ。結界を使っている。私は神様だからな」

 ご満悦な様子の神様。

「では、君の答えを見せてくれ」

 手を差し出してくる競輪の神様。二車単の車券を見せよとのことだろう。


「どうぞ・・・」

 アリサは神様のてのひらに車券を差し出す。

「うむ。これが君の答えか・・・」

 神様は車券を眺めながら呟いた。

「③-①②⑨と、①-②③⑨。これが本線。あと穴目で、①②⑧⑨のBOX」

「なるほどな・・・」

 アリサの二車単の車券を確認した神様。


「では、一応これも聞く。優勝するのは、ズバリ何番だ?一人だけ答えよ」

「優勝は③番」

「うむ。では、決勝戦を見よう」

 アリサと神様は立川競輪場に設置されている大型モニターに目を向けた。

画面では弥彦競輪場のバンクに決勝戦メンバーが入場し始めていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る