恋の魔法のサツマイモ

@ramia294

第1話

 場所は、どこでも良かったのです。


 ひっそりと静かな場所、私の身体が完全に朽ちて森の一部になるまで、他人に見つからなくなる、そんな場所を探していました。


 突然、サヨナラと言った恋人。


 意地をはって、強がって、平気なふりをしていました。


 しばらくして、振られた理由が、私の親友と付き合いだしたからだと分かった時から私は、おかしくなっていたようです。


 もちろん、そんな事は、無責任に餌だけ与えられ、増えすぎてしまった憐れな子猫の数ほど世の中には、溢れている事です。


 でも、どこか他人事だったので、今の今まで、噂話のタネにしかならない話だと思ってきました。


 しかし、自分の身に、起こってしまうと、腹立たしく、情けなく、何とも自分が憐れで、それでもあの人が恋しいと思っている自分がとても悲しいと思えました。


 何の考えもなく、適当に乗った電車が、私を運んでくれたのは、武蔵野の面影を色濃く残す雑木林でした。

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