第2話

「後ろの二体の怪人は両方Cランクの上級怪人でございます。サメ顔の怪人はシャークノバ、カマキリ怪人は、ダガーマンティスノバと名前を与えられています」






 胸元に手を当てた蝙蝠ジャガーが次にいう言葉はわかる。






「君はBランク怪人ぐらいかな。その割には肉体スペックが高いね。カナキュラスはそれなりに固そうと思ったんだけど、簡単に殺したね。肉体能力だけならAに近いってことかな」




 僕が凝視するほど、蝙蝠ジャガーは縮こまる。緊張による焦りがあって、震えも増してる。たかがBランク下位の魔法少女なんだから緊張しなくていいのにね。それともおっさんが魔法少女になったからかな、それなら焦るかもしれない。




 ただきっと違う理由で緊張しているんだろうけども。




 僕は怪人を見る目だけはあるつもりだ。




 蝙蝠ジャガーの体内を除く。僕の目はほかの魔法少女と違い怪人の体内の流れを見れる。体内で流れる魔力、魂の器、エネルギーの動き方など覗ける。心はわからないけども、態度をみれば大体わかる。








「あぁ、なるほどBランクで収まっているのはスキルがないからか」




 僕が勝手にうなずくと蝙蝠ジャガーは上半身を大きく後ろへそらした。その目は明らかに怯えが混じったものだ。ただ僕と視線が合うとすかさず元の位置に体制を戻す。






「原料はAランク3つの魔石あたりかな、あとは適当に混ぜたのかな」




 蝙蝠ジャガーの体内のコア、頭部、心臓、股関節に一個ずつ。それらの役割は肉体の強固さを作るためのもの。魔法を発動することもないために肉体強固を維持するため分散しているところかな。魔法使いなら一か所に集めて運用も考えるけど、抜かれたら弱体化するからね。






 僕だって心臓抜かれたら死んじゃう。




 蝙蝠ジャガーにはそれがない。心臓抜かれても分散したコアのおかげですぐ復活する。あくまで肉体を作るさいと維持するためのものだ。面白い構造だと思う。その分スキルがないけどね。




 スキルがない怪人なんて、正直怖くない。




 でも肉体を極めれば、それもまた別のスキル。




 ただ非常に雑だなと思った。






「ティターも雑な仕事をしたね」






 僕が蝙蝠ジャガーに軽く告げて、肩を叩く。そういってから蝙蝠ジャガーは大きく震え、僕から必死に視線を逸らすようだった。








「君のほうが強いのに、恐れる必要ある?」






「てぃ、ティターノバ様は・・ざ、雑な仕事をしておりません・・・。Bランクの怪人を産みだせる方などそうそうおりませ・・・」




 僕の質問には答えず、雑な仕事をしたといったところを否定する。さすがティターの子。自分の親の文句は訂正にかかるか。僕は少し反省しつつも、事実を告げる。






「いるよ。君の目の前に」






 僕は前かがみになった。




 蝙蝠ジャガーの頬をつかみ、視線を無理やり合わせた。きっとおかしかったのか。僕は笑ってた。






「ティターの子、蝙蝠ジャガー。君は優秀だ。認めよう、でもそれだけだ」




 頬から手を放し、肩を押した。抵抗しようと思えば抵抗できる。だが蝙蝠ジャガーはそれをしなかった。背中から倒れた蝙蝠ジャガーにのしかかるように体を移動。魔法少女になると両足が短くなるので、蝙蝠ジャガーの腹部を踏みつけた。本来ならまたぐ形にしたかったんだけどね。








 踏まれたことに対する屈辱はあるかなと覗いても何も感じてなさそう。ただ背後に控える二体の気配が少し騒がしくなった。無視した。




 怪人なら僕は大体わかる。






 僕の右手を闇の炎が包む。常人が近づくだけで腐食炎上する危険なもの。怪人が触れても何も影響はない。弱い魔法少女なら触った部分が解ける程度。






「な、なにを大首領!!」




 蝙蝠ジャガーが頭を浮かせた。




 それを僕は左手で魔法を発動。魔法の弾丸が蝙蝠ジャガーの頭を再び地面に押し付けた。痛みはないはずだ。




 ただ全身が震えているから可哀そうではある。




 そりゃそうだよね、大首領っていう肩書だもん。上司の怖さは怖いもんね。会社員とかの上司関係じゃなく、悪の組織の上下関係だもん。逆らえば死とか当たり前そう。




「抵抗するな」






 僕は自然に命令していた。怪人は素晴らしいものだ。蝙蝠ジャガーの肉体スペックは素晴らしく、僕の美学を理解した構造だ。






「ティターの子、蝙蝠ジャガー。君は運がいい」




 蝙蝠ジャガーの腹部に腰を下ろした。僕は自然と笑みが深くなった。その笑みを見た蝙蝠ジャガーは両目から涙を流してた。何もしてない。僕弱いけど、いじめる気質は一切ないんだよ。






「他人の怪人、しかも身内が作った怪人の再改造なんて初めてだ」






 あはははと笑いながら僕は蝙蝠ジャガーの胸部に右手を押し込めた。この暗黒の炎は怪人を殺すほど腐食効果はない。ただ僕の身内が作り上げた怪人である以上、構造は理解している。その構造を一部分解すれば、簡単に右手は浸食していった。






「あああああ!!!」






 蝙蝠ジャガーが暴れた。ただ僕がのっかっている以上、必死に痛みに耐えている。




 暗黒の炎には熱がある。腐食効果がある。腐食能力で分解をし、熱があるために形を固定する。それは怪人にとって生命の危機だ。痛みもあるだろうし、本能が抵抗しようとするだろう。






 ただ耐えてる。






 僕は心臓のコアに触れる。




 そして弄った。




 肉体との結合を更に強固にする。ティターが作った際の肉体と魔石のつながりは強いけど、さすがに強いだけで柔軟性がなかった。コアを守るための肉体部分に衝撃を吸収する皮下組織を構築。またつながりが中途半端に固かった腹部は多少削った。過剰すぎる。それを関節部分に回し、より柔軟な動きを再現させる。




 それを終えると今度は下半身に腕を突っ込んだ。




 ただ男性の急所とかではない。尻部の背面にあるコアだ。脚部の瞬発力を生かすために設置したんだろうけど、エネルギーが過剰。それの位置を少しずらし、力の流れを上半身にも流した。具体的にいえば上半身の側面に流した。強いだけで、固いだけで、動きが悪い。








 手を抜く。立ち上がって、胸部に腰を下ろす。




 涙目の蝙蝠ジャガーを一度撫でて、右手を侵入させた。






 頭部の強固さはそのままに、エネルギーが残った部分に新たなる要素を構築。




 肉体のみのスペックである以上、それを生かすべきだ。下手に改造を食わせると美学に反するし、能力の分散になって弱くなる。ティターのコンセプトはそのままだ。






 そこに入れた要素。






 スキル、危機感地。本能を刺激する強者が近づくと感知する能力だ。生き残るために必要だと判断した。元々その素質はあったし、それに似たような能力は持っていたはずだ。スキルと呼べないほどであっただけだから、それをスキルと呼べるものまで引き上げた。




 手を引き抜いた。暗黒の炎がまとった手を振れば、鎮火していく。




 蝙蝠ジャガーは泣いてる。






 僕は蝙蝠ジャガーの両頬をつかんだ。




 顔を至近距離までもっていく。






 何か涙が増えた。可哀そう。怪人をいじめるやつ最低だな。






「どうだい?蝙蝠ジャガー。これが再改造だ。僕も何度もティターを再改造したもんだよ。君みたいにいっぱい泣くし、暴れたくても僕に怪我をさせてしまうからと勝手に我慢してたよ。うんうん、君を見てるとティターの再改造を思い出すよ。かわいかったな。あの頃のティターは本当にかわいかった」




 感慨に更けて何度もうなずくと、他の二体の怪人が身を震わせてた。






 僕は面白くなって二体に視線を合わせた。






「ティターはかわいい。蝙蝠ジャガーもかわいい。君たちもかわいい。僕は君たちを殺すわけないじゃん。大切なティターの子供だよ。殺さない、壊さないをモットーにしてるから安心しなよ。だから言いたいことがあれば言っていい。これでも身内には甘いんだ」




 僕は相手の反応をまって、首をかしげて見せた。関心を深めれば深めるほどに二体は身を縮こませた。ただカマキリ顔の怪人、ダガーマンティスが恐る恐る顔を上げた。






「・・・ティター様の、我らが首領の怪人は、し、失敗さくなのでしょうか?」






「ん?失敗作なの?君たち。ティターの怪人コンセプトはあってるよ。僕が教えた通りだし、君たちも見た感じそうだよ。ただ力の分配が下手なだけ。それを直しただけだから、別に失敗作じゃないよ。ティターは雑な仕事をするけど、失敗をしないよ。僕より優秀なんだよ」






 蝙蝠ジャガーの頬を片手で触る。撫でる。固くて狂暴な牙に指が触れた。




「今の蝙蝠ジャガーは再改造の影響で疲れているけど、体調万全なときに見てみるといい。これならAランクを名乗っても騙せるほどの怪人に仕上げた。君たち怪人なら力の本流を多少は見れるはずだからね、きっと変化にわかるよ」






 ほかにはないかなと僕が促した。




 サメ顔の怪人、シャークノバが手を小さく上げた。




 僕は指を向けた。




「はいシャークノバ、質問をどうぞ」






「・・・ティターノバ様は、かわいいより怖いが似合うかと思います。・・秘密結社鵺の首領を可愛いと称するのは・・他組織からしてみれば悪影響かと思いますが・・・」






 どの怪人も自分の生みの親や組織に対して忠誠心が高い。そういう風に生み出されたとしても必ず訂正に入る当たり、ティターの能力の高さがうかがえた。






 でも僕は立ち上がる。




 蝙蝠ジャガーから離れた僕は両手を後ろに回した。ゆっくりとシャークノバまで時間をかけて進む。






 目の前に立ったシャークノバ。






 その両頬を触れば、小さな刃物のごとき肌の刺々しさ。魔法少女の状態であれば傷つかないが、おっさんスタイルなら傷をおいそう。








「かわいいよ。かわいいものをかわいいって何がわるいの?他組織ってなに?可愛いだけで悪影響が出るとでも思ってるの?君ティターを甘く見すぎさ。自分の親に対しての風評を気にするのは正しい。でも、ティターを作ったのは僕だ。僕だけがティターの評価を自由に決められる」




 両頬をつねる。




 魔法少女Bランク下位といってもCランク怪人にとっては激痛だろう。






「君はいつから、僕とティターの関係性を意見できるようになったの?」






 僕は怒っていない。含みも一切ない。ただ純粋に気になっただけだ。少しばかり反応に困ったけども、僕からすればシャークノバは孫みたいなもの。本気で怒ったりはしない。






 ただ僕が少しばかり態度を示せば、シャークノバは絶望の表情を浮かべてた。理由はわかる。僕はティターの生みの親。秘密結社の大首領。僕がいなければシャークノバはこの世にいない。




 生みの親を生んだ親。




 僕の機嫌を損ねることは、今の組織から居場所がなくなることと同じ




 口をぱくぱくさせて言葉がでないCランク怪人。






 両頬をつねるのをやめて、その部分を撫でる。






「なんてね。僕は怒ったりしない。他組織からの評判なんてくそくらえさ。そんな小さなことを気にするやつらはどうせ」






 僕は一度息を吸い。




 シャークノバに背中を見せた。






「滅ぼしてやるからね」




 踵を返す形で僕は変身を解除した。






 シャークノバからすれば離れていくおっさんの背中。




 その背中に対し勢いよく土下座する気配を感じた。








「大変申し訳ありません。大首領!!以後このようなことはいたしません。どうか、どうか」






「怒ってない。君はティターの子だ。身内を減らすなんて馬鹿なことはしない」






 僕は顔だけ向けた。シャークノバが頭を地面にぬいつけるように土下座をしていた。気配だけでも予測できたけど、実際にしているとは思わなかった。たかがおっさんごときに大変だこと。






「僕が聞いて、君は質問をした。かわいい子供たちの些細なものごとだ。安心してよ、ティターにも言わない。もしティターがこの件をどこかで知って、何かをいったら僕の名前を出していいよ」




 できる限りの優しい笑みを浮かべた。それを見ていたダガーマンティスがおびえてた。










 僕は無視した。






 そして蝙蝠ジャガーの頭部の間近にたった。見下ろした視線と蝙蝠ジャガーの視線を合わせた。痛みが治まったのか激しい息はやんでいた。






「起き上がれる?」




「はっ」






 蝙蝠ジャガーは全身を起こし、またほかの怪人と同じように膝まづく。




 僕の背後に二匹の怪人。正面には蝙蝠ジャガー。




 奇襲されたら死ぬなと思いながら、顔には出さない。








「君に気配を感じるスキルを与えた。また君のコアたる魔石の力を分散させて、肉体がより柔軟になったはずだ。強固さはいじってないから君は器用性だけが上がったとおもっていいよ。下手をすればAランク怪人と見間違われるかもしれない。だけど、君はまだぎりぎりBランクぐらいだとは思う」






「はっ、ありがたき幸せ」






「ティターから再改造してもらったほうが君たちてきに嬉しいと思う。だけどティターは再改造だけ下手なんだ。怪人を生み出すのは上手いんだけど、作ったものを改良するのが下手でねぇ」






 僕は蝙蝠ジャガーの頭を撫でた。








「あの二匹も鵺の本部に着いたら再改造しようかな。僕が直接再改造するのは、僕の怪人とティターの子だけと決めてるからね」








「ティター様の子でよかったと心から思います。その幸運はほかの怪人にはない名誉以外の何物でもございません」






 心から言ってるようだ。頭をなでて、怪人の態度を見てそう思った。再改造してからか、蝙蝠ジャガーは落ち着いている。また己の能力を把握するため、会話の最中にでも確認しているのかな。






「あとは君たちにお願いがある。この国道の道を通れるようにしておいて。両脇の車とかカナキュラスの死体とか片付けてくれると嬉しいな。僕が必死に治安を安定させた道なんだ。そこらへんの野生の魔物をとらえて、いじめて、生かして放すをひたすら繰り返して、ようやくこの道は平和になったんだよ」




 野生の魔物は群れる。その群れを捕まえて、いじめて、生かして放す。これらの連鎖は痛みと恐怖を刺激して野生の魔物を離れさす訓練だ。一々殺したところで他からくるんだから、この辺の住処の魔物を残したまま、教育したほうが安い。




 そのころはDランク怪人とティターしかいなかった。本当に苦労した。野生の魔物とか普通に強いんだもん。何体もDランク怪人殺された。Dランク怪人って結構強いのに簡単にかみ殺す魔物とか頭おかしい。




「はっ、そのお話はティター様からうかがっております。我らにお任せを」






「うんうん、もし手が空いてなかったら僕の子たちにやらせるよ」






 ティターの子は忙しいからね、秘密結社鵺の組織構造にはティターの子が活躍しているようだ。きっと一体あたりの仕事は多いんだろうな。






 その場合は僕の怪人にやらせよう。




 Dランク怪人は全員警備の仕事を与えてるし、Cランク怪人は鵺とは違う場所で護衛してるし、Bランク怪人は守護をさせてる。あれ、余ってない。Aランク怪人なんてティターしかいないから仕方ない。






 その時は仕方ない。別の怪人を適当に作ろう。


「・・・我等も大首領のものです。ティター様を生み、そのティター様が生んだ我等もまた大首領のものでございます。秘密結社鵺は全て大首領の子と同じと考えています」






「違う気がするけど、まあ任せるよ」








 ほかの怪人二体は黙って、蝙蝠ジャガーと僕の会話を聞いているようだ。命令系統としては蝙蝠ジャガーは幹部かな。その手下が二体の怪人ってところかな。Cランク怪人という上級怪人二体は本当にすごいよね。僕だってCランク怪人1体ぐらいしかいない。Bランクも一体しかいない。






 ティター率いる秘密結社鵺、僕が率いる怪人集団は別行動をしている。




 悪の組織の拠点も僕の拠点も大きく違う。職場と自宅が同じ奴はいないように、僕は自宅は遠目においておく主義だ。自宅と職場が近いと厄介ごとを押し付けられるからね。人生経験だよ。






 直接生み出した怪人は僕の拠点で仕事をさせている。




 ティターノバだけは自由行動で別に仕事をさせている。個人的に怪人を何体か渡したかったけど、さすがにあの状況で怪人を手放すと不測の事態になる。そのため丸投げという形で、秘密結社を作らせ自由に拡大許可も出した。怪人作成の技術も教えた。蝙蝠ジャガー、シャークノバ、ダガーマンティスノバを生み出すほどになった。




 ティターノバは下妻で勢力を。




 僕は八千代町付近で勢力を。








 僕の拠点を知るのはティターノバだけだ。それ以外は知ることはないだろうし、知ったとしても拡散できない。大体消すからだ。野生の魔物ならいざ知らず怪人が僕の拠点を知れば襲撃してくるからね。仲間を連れて攻撃されても厄介。見つかった時点で消す。






「本当にティターもすごくなった。鵺を作ってからの、ティターは組織拡大に怪人作成に忙しそうだもん。僕なんてその間適当にCランク怪人を作ったり、再改造でBランクの怪人を適当に作ったりしてただけだ。Dランク怪人も適当に20体ほどになったけど、鵺と戦わせたら絶滅させられそう。あははは」






「・・そんなに怪人を?」




 蝙蝠ジャガーが僕の様子をうかがっている。怯えが深くなった気がする。まあ悪の組織が怪人を一体つくる期間をみれば反応もわかる。ティターも秘密結社鵺の首領である以上、僕より怪人を束ねているはずだ。








「蝙蝠ジャガー、今の君を相手に無事にすむほど僕の怪人は強くないよ。魔石がたりないんだ。本当はもっと怪人がほしいんだよ」




 Aランクに非常に近くなった蝙蝠ジャガー。その力はきっと僕を上回る。また一体でも僕が生み出した怪人を軽く蹂躙するだろう。僕がもつBランク怪人なんて一体しかいない。蝙蝠ジャガー相手に時間稼ぎにしかならない。Dランク怪人10体ほどで後ろの二体怪人を抑え込むぐらいかな。残りの怪人は色々別のことをやらせることにする。




 うん結構やばい。喧嘩うらないようにしとこう






「・・・鵺も怪人不足です。我ら上級怪人3体とティターノバ様一体。他は野良の怪人を適当に束ねているだけでございます。EランクやFランクの怪人がメインです。野良の怪人は平気で裏切ってきたり、情報を流したりと信用にもおけません。その監視も野良のなかで比較的ましな怪人を当てていたりと、なかなかうまくはいきません」






「ふうんティターに作らせれば?」






「ティター様でも、最低でも一体生むのに10日ほどかかります。しかも魔力の大半を消費するため、安全と思える日しか使えません。下手な怪人を作って、疲れているところを野良怪人に狙われればと思えば簡単にできません」




 蝙蝠ジャガーの目は確実に何かを言おうとしている。




 たぶん生み出した怪人の数は僕のほうが多い。怪人の数が多いから鵺と戦ったら数の差で蹂躙される。それでも質だけならば僕の怪人集団のほうが上ということかな。








「僕の怪人のほうに片づけはやらせよう。君たち大変そうだ。Dランク怪人4体ほど適当に回すよ」






「・・・Dランク怪人が片付け要因?戦力じゃなくて片付け?・・・」






 蝙蝠ジャガーが混乱しているから話を切り上げよう。何か言いたそうだけど、面倒くさい。僕は肩をすくめておいて話を終えた。


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