アラビアのロレンス

 バイク映画について調べていると必ず眼にする映画『アラビアのロレンス』を観ました。


 その尺、227分。

 ほぼ四時間という事もありなかなか踏み切れなかったのですが、覚悟を決めて視聴しました。……と言っても配信サービスですと途中で一時停止できますしおすし。

 まず最初。この映画はバイク映画ではなく、どちらかというと戦争映画なのでは? と思いました。しかし、Twitter(現X)でリポストしてくださった方のツイートを拝見して思い直しました。エッセイを書き始めた頃の初心忘れるべからず、かなと。

 観た人がバイクに興味を持つ、バイクに乗ってみたくなる、乗れなくても心が昂る。バイクがそんな印象を私たちに残してくれるのは素晴らしいバイク映画なのではないでしょうか。冒頭のバイクに跨るまでの儀式の描写や、ちょっとした汚れが気になってしまう心理、走り出す瞬間のあの鼓動。それら全てに共感や発見があると思います。


 お話の主人公ロレンスは普通の感性を持った普通の人。しかし戦時下において普通でありつづける彼は、軍隊の中では変わり者扱いなのです。

 途中二時間半くらいの辺りでインターミッションが入る二部構成で、前半ではその普通の感性を持ち続ける彼の人間的魅力に依って人々が彼の味方になっていく、ある意味なろう展開っぽい流れ。後半では、葛藤しながらも戦争という渦に飲み込まれていく彼と周りの人々との関係性が対照的に描かれています。


 では何故この作品がバイク映画としてランキング上位に出てくるのか?

 それはやはり登場するバイクが特殊だからでしょう。皆さんご存じ、みんな大好きバイク界のロールスロイス「ブラフ・シューペリアSS100」

 元々有名なオートバイだとは思いますが「キノの旅」で改めて有名になった感じでしょうか。因みに私まだ未履修なんです。

 映画では(ロレンスのバイクとしては)冒頭部分しか登場致しません。もひとつ言わせて頂くと、女性も全編通して(数瞬だけモブとして見かける程度しか)登場致しません。ロマンスなど介在しない男臭い映画なのです。


 彼が生涯の中で七台も乗り継いで、バイク乗りとしてその愛を注いだブラフ・シューペリア。その中でも彼の最後の愛車となるのはSS100。

 時速100マイル(約160キロ)もの速度が出せることから付けられたその名前。道路の舗装もおろそかであったろう頃。乗車時にヘルメットを被る習慣も勿論無く、そんな速度で走っていたらそりゃ危ないですよね。


 バイクをこよなく愛した彼の生涯の一部を、その愛すべき人間性を、映画という表現を通して観てみてはいかがでしょうか?

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