キリン後編

 カタナに拘る必要はなく、バイクと自分との対峙の仕方の一例だと思う。


 後編は基本的に公道レースがメインです。原作と比べると展開に若干のアレンジはありますが、車両関係は細かな仕様に違いこそあれど基本的に原作通りで嬉しくなります。


 最後にほんの一瞬だけど原作でサラッとしか描かれなかったシーンがあります。映画でもそれなりにサラッとなのですが、映像で観るこのシーンは最高に良かったです。


 バイクに乗る事、その特異性について考えさせられました。

 自分の若さとの向き合い方、家族との関係、社会の偏見との戦い。当たり前の事に気付かされます。

 今バイクに乗れている幸せは自覚すべき事だと思いました。


 と、そこまで重く考えなくても、これこそ本格的にバイクが出ないと成り立たない、まさしくバイク映画として楽しめます!


 映画を観終わって、原作第一部を読み返しました。

 十代の煌めきの中、初めて読んだ時を思い出しながら。

 そんな私もいつのまにかトシちゃんの歳を越えて、気が付けばキリンさんの歳も越えてしまっていて。一体何回目の夏を過ごしたのか。とうの昔に昭和の乙女の歳も越えて、それでも今のこの歳で読みなおしてみても、新たに心に伝わる何かがあります。


 だけど。

 キリン(のみ)信者の方とは分かり合えない気がします。バイクはバランスを取りながら乗る乗り物。キリン読んでばくおん読んでケンタウロス読んでバイキッズも読める、そういう人にワタシハナリタイ。

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