第12話 ツインレイ

「ツインレイ?ツインソウルではなくて?」


「違うの、全く。」と言って、ヨキはカードを一枚めくった。

それは、陰陽のマークだった。

「ツインレイは、元々一つの魂が2つに分かれてしまった魂なの。

だから、ツインレイの存在は1人。

そして、それは、ほとんど異性なの。


ツインソウルは、ソウルメイトの中でも、元々同じ使命感と目的を持った、10人以上の塊の種族の仲間。

そのツインソウルに出会うのは、男女の仲とは限らず、同姓もいて、出会えば、協力しあって困難を乗り越えられる場合が多いの。


ツインレイの場合、その男女は、強く引き合うの。

そして、出会った瞬間から懐かしいと感じたり、言わなくてもお互いの心が分かったりする。

だって、元々一つの魂だから。

そして、切っても切れない縁で結ばれている。


けれど、問題がある。

元々二つで一つだから、全く同じ状態じゃないと結ばれない。

大抵は、お互いが、それぞれ、困難を乗り越えて、磨かれた状態で、出会えば、結ばれる。

そうではない時に出会ってしまうことがあって、

その場合、会った瞬間から強く惹かれ合うのに、ものすごく苦しいの。


チェイサーとランナー、つまりは、追う人と逃げる人となり、一旦は離れてしまう。

大抵、男性がランナーね。

元は一つだから、離れたくないと思うのが当たり前なのに、ランナーが、離れようとする。

チェイサーは、辛くてたまらない。


わたしとこうちゃんの場合も、こうちゃんがランナーなの。

だから、わたしは、あんなに苦しんだの。

でも、、浄化が必要なの。

お互いが、別々の場所で成長し、浄化され、そして覚醒するの。」


翌日、第三拠点のカフェに出向いた。

1人、フライヤーを見て、申し込んできた人に、リーディングをするためだ。


初老の女性が入ってきた。

近所に住んでいて、占いとかが好きで、チラシを見て、カードリーディングにとても興味が出たので来た、ということだった。


ヨキとお客様は、奥のレンタルルームに入っていった。


音羽は、このカフェのオーナーと、新規事業の打合せをしつつ、待っていた。


ヨキの場合、普段のリーディングは、1時間前後の時間をかける。

もちろん人によって、40分で終わる人もいれば1時間半かかる人もいる。


今日は、1時間半経っても、まだ終わりそうにない。

カフェのオーナーが、お水を入れ足しにその部屋に入って行ったけれど、すぐに戻ってきた。


「わたしが、お部屋に入った瞬間、お客様、ビクッとされたから、あっ、プライベートなことだからやっぱり入ってはダメだったな。と反省して入り口で、引き返しました。」と、オーナーが音羽に説明した。


オーナーの話によると、そのお客様は、常連で毎日ランチを食べにお店に来られるということだったので、一人暮らしの方なのだということは、想像出来た。


約2時間経って、2人が部屋から出て来た。

世間話をしながら、音羽、ヨキ、お客様で、ランチを食べた。


音羽は、

「いかがでしたか?カードリーディング?面白かったですか?」

とお客様に尋ねてみた。


「はい、本当に、ものすごく良かったです。

今まで色々な占い師やら、鑑定やらに行きましたが、こんなにスッキリしたことは無いです。

こんな料金では、申し訳ないくらいです。」と、本当に幸せそうな顔だった。


ヨキも、

「今日のリーディングは、わたしにとっても、とても良かったです。

なんて言ったらいいのかな、、、なんだかとてもホッコリしましたよね。」と笑顔だった。




そして、音羽とヨキは、車に乗って、カフェを出た。

2人になった瞬間、ヨキが興奮して、音羽に話し出した。

「普通は、リーディングの内容は、お客様のプライベートだから、音羽にも、話さないけど、、今日の人は、わたしも音羽も、もう出会うことはこれから無いから、

内容話すわ。

これは、わたしに答えの確認をさせてくれたリーディングだから。」


音羽は、不思議に思った。

「えっ、でも、わたしあのカフェには、これからも仕事の話もあるから、しょっちゅう行くし、今日のお客様も常連だって言われてたから、また会う確率の方が高いよ、、、」


「いや、あの人、もう数日で、この地を出ることになる。

それが今日のリーディングの結果。

最初にスプレッドした時に、ある特徴とある並びが出たの。

それは、ツインレイで、苦しんでいる人のパターンだった。

割とお年を召されてたから、えっ?まさか?って思ったんだけど、次に出すべきカードが、なんと、ロマンスエンジェル、恋愛のことを主に聞くカードだった!

そして、分かったのは、あの人は、ツインレイのランナーで、チェイサーは、なんと、別居しているご主人。

今日の方は、女性なんだけど、珍しく、逃げる方の人ね。

あの人、言ったわ。ご主人のことが好きすぎて、一緒にいると、どう思われてるかが、気になりすぎて辛かった。

子どもが出来ても、その状態は変わらずで、常に、ご主人によく思われたいからだけで頑張って子育てをして、子どものことは、どうでもよくって、早く自立してほしいと思ってただけで、ずっとずっとご主人へのどうしようもないくらい好きな思いが、薄れない。

それが辛すぎて、30年前、逃げ出して、ずーっと四国や九州、大阪、京都と転々として、逃げていたんだって。

でも、その間もずっと、ご主人への狂おしいくらいの思いは消えずにいた。

逃げ続けた自分をご主人がどう思っているのかを悩み続けて、時間が立ちすぎて、だから、会いに帰れなかった、って。

こういうのをツインレイのサイレント期間って言うの。

それで、カードに出た答えは、チェイサーである、ご主人が、同じように、奥さんを好きでたまらない、帰ってきて欲しいという執着を、どうやら最近、手放した。諦めたの。

だから、ランナーの奥さんは、それを教えてくれる、わたしを引き寄せて、会うことになり、カードがそれを示してくれたの。

だから、彼女は、そして、そのご主人は、苦しみを乗り越えたから、やっと、会えるの。

次は、一つになれる。覚醒するの。

それが、今日のリーディングだった。

ツインレイの、苦しみ。追う、逃げるの関係。

やっぱり、キーを握るのは、追う側、チェイサーなの。

それを確認するために、チェイサーであるわたしは、今日のお客様を引き寄せて、その答えを見せられたの。

ツインレイのサイレント期間は、長ければ数十年続くことは知識として知っていたけど、

その実物を見せられたの。

だから、わたしは、手放して正解だった。

なんか、忘れてるもん、こうちゃんのこと。本当に。

でも、忘れても、お互いが苦しみを乗り越えて成長した後なら、必ず思い出すんだって。

だから、忘れてもいいんだって。

それくらい強い絆なの。」

「ただ、、、はっきり言って、、もうどうでもよくなったのよね。出来ればもう、新しい恋愛でいいくらい。あの気持ちは、もう忘れたな。」


音羽は、ヨキの顔を見た。

前のヨキだ。恋愛にクールな、普通のヨキに戻っている、と音羽は確信した。

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