第53話 冬華がついに僕の家の隣に住むらしい

 クリスマスが終わると僕は年末に大掃除で苦労しないために部屋の掃除を始める。

 掃除をしていると鏡花が部屋を覗いてきて

「お兄ちゃん、掃除してるの?大掃除はまだだよ?」

 と言ってきたので僕は鏡花に

「年末の大掃除の時苦労しないために今からやってるんだよ。鏡花もあとから苦労したくないのなら少しづつでも今からやった方がいいぞ」

 と言うと

「それはわかるんだけど、なんかやる気出なくない?「あとからやればいいか」って思っちゃってさ」

 そう鏡花が言ったので

「鏡花の言っていることはわからんでもないけどさ、僕はあとから苦労したくない人間だからやってる」

 と僕が話すと

「じゃあ、暇だし私もやろうかなあとから苦労したくないし」

 と言って鏡花が自分の部屋に行くと「やりますか!」と言う声とともに鏡花の部屋からごみ袋を広げる音が聞こえ始める。


 掃除をやっていると下からお母さんの「冬華ちゃんが来たわよ!」と言う声が聞こえた。

 僕は部屋の掃除を一旦やめて玄関に行く。

「暇だったので来ちゃいました。ところで今、何をやっていたのですか?」

「年末の大掃除の時苦労したくないから掃除をしてた」

「掃除ですか…。私も手伝います!2人でやれば早いですし」

 と言って冬華が袖をまくるしぐさをする。

 ここにいるとじゃまになるので

「とりあえず、僕の部屋に行くか」

 そう僕が言うと「早く行きましょう!」と言って冬華がせかす。

 部屋に行くと早速掃除を冬華とする。

 しばらくすると

「ずっと気になっていたんですが、このカーテンがかけられている本棚には何が入っているんですか?」

 冬華がそう聞いてきたので

「秘密だ」

 とかっこつけて言うと冬華がジト目をしてきたので

「完結済みの漫画です。すみません」

 そう素直に言う。

「どんな本ですか?」

「う~ん、題名は多くて覚えてないけど日常系かな」

 そう僕が答えると

「少し見せてください」

 と言って冬華がカーテンをめくって漫画を本棚から出してぱらぱらとページをめくっていくとある所で手がとまる。すると、

「これ、売ってきませんか?」

 とにこやかな笑みで聞いてきたので

「何でだ?面白いだろ?」

 と僕は聞き返す。すると

「確かに面白かったですけど、私が言ったルールに引っかかりましたので」

 そう冬華に言われた。

「そのルールとは?」

「前に言ったじゃないですか。思い出してください」

 そう言ったので思い出してみると、「どんなものを買うかにもよりますね。ちなみにムフフなものは二次元であっても許容範囲外ですので」と冬華が言ってたのを思い出したのでそれを言うと

「大正解です」

 と言って拍手をする。

「というわけで売りに行きましょう」

「あの~、冬華さん。これ全部初版なんですけど…」

「よかったですね!高く売れますよ!」

 そう冬華に言われた。

「物置に入れておくので許してください」

 そう言って僕が頭を下げると

「顔をあげてください」

 と冬華が言うと続けて

「ルールはルールです。たとえ物置に入れて遠ざけたとしてもだめです」

 そう言ってきた。

 そのあとも冬華がカーテンのかかった本棚をチェックした結果、さっきのやつを含めて完結済みの漫画2作品が冬華の中のルールに反したため売ることになった。しかもどっちも初版。

 僕が売られる漫画に「じゃあな。」と別れのあいさつをしている後ろで冬華は空になった本棚に僕の教科書を手際よく並べていく。

 教科書を並べ終わったのか売られる漫画に別れを告げている僕の肩を叩いて

「終わりました!どうですか?」

 そう言って教科書がきれいに並べられている本棚を見せる。

「教科書を取りやすくなったし、探しやすくなったな。ありがとうな」

 と僕が言うと

「頑張ったかいがありました!」

 と嬉しそうにしていた。

 そうしていると鏡花が「お兄ちゃん片付け疲れた~」と言って僕の部屋に入ってくる。

「鏡花ちゃんも片付けをしているんですか?」

「うん。お兄ちゃんが『鏡花もあとから苦労したくないのなら少しづつでも今からやった方がいいぞ』って言ったからやってるんだよ」

 そう冬華の質問に鏡花が答える。

 すると鏡花が教科書が並べられている本棚を指さして

「あれ?お兄ちゃん、その本棚にあった漫画は?」

 と聞いてきたので

「それがね、冬華のルールに反してるからって売ることになりました」

 そう僕が言うと

「ルール?何それ?」

 と聞いてきたので教えてあげると

「お兄ちゃん、ドンマイ!」

 と笑いながら肩を叩いて言ってきた。

 そのやり取りのあと、冬華が「鏡花ちゃんの御部屋の掃除手伝ってきますね。」と言って僕の部屋からいなくなったので僕はこの前買ってきた漫画の続きを読むことにした。

 読み終わると同時に冬華が「疲れました…」と言って部屋に入ってきた。

 僕は冬華に

「どうしたんだ?そんなに疲れた顔して」

 と聞くと、

「聞いてくださいよ!」

 と冬華が言うと何があったのか話し始める。

 要約すると床に本が乱雑に置かれていて、プリントも床に散らばっていて大変だったんだと。

 それを聞いて僕は

「よく頑張ったな」

 と言って頭を撫でると冬華が「疲れが取れていきます…」と言っていた。

 時計を見ると冬華が「そろそろ帰りますね」といったので

「送ってくよ」

 と言うと

「専属執事に迎えに来てとメッセージを送ったので大丈夫です。そろそろ来るとおもいますから」

 と言うと冬華がスマホを見て

「着いたみたいです。それではまた」

 と言って帰って行った。


 大晦日まであと2日の今日、外が何やら騒がしかった。

 すると鏡花がドアを壊す勢いで僕の部屋に入ってきて

「お兄ちゃん!タキシードを着たおじいちゃんが来てお兄ちゃんと話したいって言ってたよ!」

 と言ったので

「どこにいる?」

 そう聞くと

「リビングだよ!」

 と答えたので急いでリビングに行くと冬華の専属執事が

「宮都様、すみません。急に家に来てしまって」

 と言って頭を下げたので

「なんで頭を下げるんですか?!頭をあげてください!」

 そう僕が言うと「宮都様が言うのなら」と言って頭をあげてくれた。

 僕は気を取り直して「話したいこととは?」と聞くと執事が

「それはですね。以前『隣に家を建てる』と言ったじゃないですか。その家が完成しまして、明日から住むことになりました。なのでそのご報告です」

 と話した。

 それを聞いて僕はふと思ったことを執事に聞く。

「家ってこんなに早くできる物でしたっけ?普通家って建てるのに半年とかかかるのでは?」

「宮都様、神宮財閥にはは通用しませんよ?」

 そう僕の質問に執事が答えると鏡花が

「ところで鏡花ちゃんは?」

 と聞いたので

「家で荷物をまとめてますよ」

 そう執事が優しく答える。

 執事はしばらく談笑したあと帰っていった。

 夜になると冬華から電話がかかってきたので

「どうした冬華。なんかあったか?」

 と言うと冬華が

『私の執事から聞いたと思いますが、明日から宮都が住む家の隣で暮らします。なのでよろしくお願いします』

 そう言ったので僕は

「こちらこそよろしくな」

 と僕が言うと緊張した声音で冬華が

『あの、宮都。よろしければでいいのですが、年越しを一緒にしませんか?』

 と提案したので

「そうだね。やろうか」

 と僕が言うと『ありがとうございます』と冬華が言うと続けて『明日は早いのでもう寝ますね。おやすみなさい』と言って通話を終えた。


 次の日、昨日と同様に外が騒がしかった。

 まぁ、冬華の荷物を運び込んでいるのだからしょうがないと思って我慢する。

 しばらくすると荷物が運び終わったのか静かになる。

 するとインターホンが鳴ったので急いで玄関に行きドアを開くと

「宮都、引っ越しの挨拶にそばを持ってきました。あとで家族で食べてくださいね。私はまだやらなきゃいけないことがあるので。それでは」

 と言ってすぐに帰っていった。

 そのあと「そばを貰ったから今日の昼ご飯はそばにしてくれ」と言うと「わかったわ。見える場所に置いておいて」と言われたのでテーブルの上に置くと僕は自分の部屋に戻って昼ご飯の時間になるまで漫画を読んで過ごした。

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