第16話 女の子の名前を急に呼べって言われたら緊張するよね?

 朝のホームルーム後に各教科の先生の所に行き、課題を提出しに行って、教室に帰っている途中で昨日100円をあげた女の子にばったりと会った。すると、女の子がお礼を言ってきた。

「昨日はありがとうございました!あのジュース飲めました!」

「そうか。良かったな」

「あのっ!お礼させてください!」

「いえ、結構です。そもそもあなたの名前を知りませんし」

「ああ、そうでしたね。いうの忘れてました。私は森白真由香もりしろまゆか。高校1年生です。あの、名前を言ったからお礼させてくれますよね?」

「いや、100円返せばいいんじゃないかな?あと、僕は松平宮都まつだいらみやと

 と言うと

「もちろん100円は返しますよ!でも、宮都君は私の恩人なんです!だから何かお礼させてくれないと、申し訳なさに苛まれるんです!」

「う~ん、お礼と言ってもねぇ」

 と悩んでいると

「ここにいましたか。宮都様。ところであなたは?に用でもあるんですか?」

 と神宮かみやさんが敵意むき出しで聞くと

「あなたには関係ないですよ。」

 とこちらも敵意むき出しで言う。

 僕は神宮さんの耳元で

「神宮さん、この人は昨日話した女の子ですよ」

 と説明すると納得して

に何の用があったんです?」

 と再度聞くと

「100円貸してくれたのでそのお礼をしたいと思って」

 と森白さんが答えると

「今この場で返せば問題ないですよね?あと、です。それでは宮都様、教室に行きましょうか。」

 と言って僕の右腕を掴んで教室に連れていく。その時に森白さんは「え?彼女がいたの…?」とつぶやいていた。

 教室に戻ると

「これからトイレ以外私もついていきますね。いいですか?」

 神宮さんが言う。

「それだと、神宮さんに負担がかかるよ?」

冬華とうかとこれから呼んでください。もちろん”さん付け”はだめですよ?」

 冬華が続けて

「部活の先輩、クラスメイトの女の子と女の先生は許容できますが、それ以外は許容できません」

 僕は冬華に「何を言っているんだ?」と聞く。

「いい加減に気づいてください!宮都様と他の女の子が話しているのを見ると胸が痛くなるんです!悲しくなるんです!さっき、女の子に触られましたよね?あの時とても胸が痛くなったんです!」

 冬華が本音を吐き出す。

「ごめんな冬華。気が付けなくて」

 と抱きしめると

「うん。これからは気を付けてくださいね?約束ですよ?」

 と目に涙をためた状態の上目遣いで僕を見て言った。この時の冬華はとても可愛くて、綺麗だった。

 そのあと、やり取りを聞いていたクラスメイトが「ヒューヒュー!」とか「幸せにな!」と言ってきて恥ずかしかったが、冬華はまんざらでもなさそうにしていた。

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