第14話 めんどくさい隣人は実はゲーム友達だったりする

 神宮かみやさんの専属執事が運転する車に乗せてもらい家の前まで送ってもらったあと、玄関に入ると靴が1足多かったため、お客さんがきているのかと思い自分の部屋に戻って制服から私服に着替えてから自室でゲームをやることにした。数分後、僕の妹である鏡花きょうかが僕の部屋に転がり込んできて

「お兄ちゃん!隣の家のお姉さんがお兄ちゃんを所望してるよ!早く行ってあげて!」

 と鏡花が割とどうでもいいことを言ってきた。

「その人ならほっとくとすぐに帰るよ?」

「『お兄ちゃんの顔を見るまで帰らない!』って言ってたよ?」

 まじか。めんどくさい隣の家の人だな。僕はため息をついて

「わかった。じゃあ行くか」

 と言ってリビングに行く。すると

「宮都!無事かい?記憶喪失になっていないかい?私のこと覚えているかい?」

 と言っているのが隣の家のお姉さん、もとい近藤寿葉こんどうことは。年齢不明というか聞くと注意される。では通称こと姉。ピンク色の髪を膝まで伸ばしており、いつもジャージを着ている。そのため近隣の人からは”ジャージの女の人”と呼ばれている。なお、本人は気が付いていない。

「宮都!ボスイベをやろう!」

 ここで紹介しておくが、こと姉の正体は21である。プレイヤー名はニケ。

「まだ午後7:00じゃないよ?」

「ああっ!ほんとだ!まだ午後5:45じゃないか!どうしようか?」

 と聞いてきたので

「帰宅したら?」

 と言うと

「辛辣すぎでしょ⁉」

 と言われた。

「冗談はそこまでにして、ご飯はどうするんだ?」

 と聞くと

「持ってきてます!安心してね!」

 と言ってかわいい袋に入れられた弁当を見せてきた。

 すると今まで僕の部屋にいた鏡花がリビングに来て

「いつまでいるの?」

 と敵意を剥き出しにしてこと姉に質問する。

「ん~、午後9:00ぐらいまでかな?だって宮都君は退院して間もないし。それに…宮都君と今はゲームをできる喜びをかみしめたいからね」

 と答えた。

「ありがとう、こと姉」

 と僕は感謝の気持ちを述べると、顔を赤くし、照れていた。

 そのあと、こと姉と僕たちは一緒に夜ご飯を食べた。こと姉が持参した弁当はてっきり、肉、焼きそば、白飯のみだと思っていたが、野菜もきちんと入っており栄養バランスがきちんと考えられていた。

「誰が作ったの?もしかしてこと姉のお母さん?」

 と僕が聞くと

「何言ってんの?私だよ作ったの」

 と言った。こと姉が料理を作れることに僕達家族は驚きを隠せなかった。

 ご飯を食べたあと、ボスイベが始まる午後7:00になるまでテレビを見つつ、こと姉と話しながら過ごした。

 午後6:59になるとこと姉が

「宮都君!あと1分だからアトを起動してログインするぞ!」

 と指示を出す。

 ログインすると撫子なでしこがいた。

 チャットで

〈撫子〉『やっと来たか!17:00から待機してたよ!』

 ここにもこと姉(今はニケ)と同じミスをしているプレイヤーがいた。

〈ニケ〉『お前、時間帯ミスってんじゃん!』

〈ロンド〉『いや、ニケもだけどな?』

〈ニケ〉『余計なことを言わんでいい!』

 ニケがツッコミを入れる。

〈撫子〉『お前も同じミスしてんじゃん!』

〈ロンド〉『似た者同士だね』

 と僕がチャットをすると

〈撫子〉『ニケと同じにしないでくれ!』

〈ニケ〉『撫子と同じにするな!』

 と2人が同時にチャットをした。

 そんなやり取りをしつつボスイベへ。


 そのあと、午後9:00まで3人で楽しみ、今日は解散した。

 こと姉に

「外が真っ暗だから、家が隣だけど送っていくよ。」

 というと、

「うん!ありがとう!夜道は怖いからね。」

 と素直に聞いてくれた。

 こと姉の住む家まで送って帰ってくると、神宮さんから『2週間分の課題、終わりそうですか?』というメッセージが届いていた。

【宮都】忘れてた。明日の朝早く起きてやるつもり。

【冬華】何時ぐらいに起きてやるつもりですか?

【宮都】午前4時ぐらいかな?

【冬華】わかりました。起こせばいいですか?

【宮都】いや、起こさなくてもいいよ。今の季節は寒いから風邪をひかないように、睡眠時間を十二分にとってね。

【冬華】わかりました。では、明日午前7:00に家に迎えに行きます。なので一緒に登校しましょう。

【宮都】わかった!おやすみ!

【冬華】おやすみなさい!

 とメッセージが送られてきてやり取りは終了した。

 そのあと、歯磨き、入浴などをこなすと、午後11:00になってしまっていたので、2週間分の課題をやらずに寝ることにした。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る