第9話久しぶりに家に帰ると妹が甘えん坊になっていた

 僕が家に帰り、リビングに行くと鏡花きょうかは体育座りをしながら何を言っているかはわからないがぶつぶつと独り言を言う声が聞こえた。

 鏡花はリビングの扉が開いた音に反応し、

「ただいま」

 と元気のない声で言ったので、僕は

「おかえり、鏡花」

 と言う。すると、鏡花がすごい勢いで立ち、僕に抱きついてきて、頭をぐりぐりさせながら

「お兄ちゃん!もういなくならないで!」

 と目に涙を貯めながら言う。そこからは鏡花がベッタリとくっついたままだった。


 鏡花をどうやって剥がそうか考えていると

「あ〜、そういえばさ、同じ部活の鷲野由希わしのゆきっていう人がさ毎日手紙とかを届けてくれてたわよ?」

 そう言ってお母さんがプリントを渡してきた。渡されたプリントを見ると主に文化祭についてだった。文化祭がに行われるというお知らせを見て、「どーしよ!まだ構想もできてない!」と焦っていると、

 チャイムが鳴った。お母さんが

「私忙しいから宮都お願い!」

 と言われたので、鏡花に

「今離れてくれると1時間頭なでなでコース」

 と言うと、素早く離れた。

「どちら様ですか〜」

 と言って僕が出ると

「あの〜、手紙を…」

 と言いかけて僕を凝視し、固まっている由希先輩がいた。

「文化祭で出す本の内容の構想がまだできてなくて」

「そんなのどうでもいい!よかった、よかったよぉ。うわぁーん!」

 と泣き出してしまった。

「由希先輩、どうどう」

「頭を撫でてくれたら落ち着く」

 と言ったため、頭を撫でることに。気持ちいいのか猫みたいに目を細める。

 玄関で話していると暗くなりかかってきたので

「もう帰った方がいいんじゃないんですか?」

 と聞くと、

「うん!帰るよ!明日ね!」

 と言って帰って行った。


 リビングに戻ると、鏡花がまたくっついてきた。なので引き剥がす方法を考えるのをやめて、くっついたまま由希先輩から受け取った手紙を見ることに。

 ほとんど文化祭関係だった。

 そして、お父さんが帰ってきて、夜ご飯。いつもより豪勢で美味しかった。やっと、家に帰ってきた感じがした。

 ご飯を食べ終わったあと、お母さんからスマホが渡された。傷がついていなかったのでほっとする。電源をつけてみると由希先輩とすばるからLIMEが来ていた。由希先輩は8000件、綾川あやかわ先輩からは2000件、昴からは18件だった。由希先輩と綾川先輩、送りすぎです。

 綾川先輩から通知が来た。内容は「昼休みに私の髪を櫛でとけ!」という内容だった。なので『時間があったらやりますよ。』と返信すると、『約束だからな!』とメッセージが送られてきた。

 僕が風呂にはいろうとすると、鏡花が「一緒に入る!」と言ってついてきたが、お母さんにリビングに連行された。

 僕は『文化祭では何の係になっているんだろうか』とワクワクしながら眠る。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る