Fate chronicle

姫宮未調

出会い

彼に出会ったのは紅葉の葉が舞い落ちる、少し風の強い日でした。

ケモノと呼ばれるイキモノ。

全身毛で覆われ、尖った耳は頭の上にあり、鼻と口が前に突き出ていて、四足歩行をしています。

話には聞いていたけれど、人間ですらおじいとおばあ以外あまり会うことがありません。


彼はあたしをずっと見つめていました。

あたしも瞬きせずにその綺麗な黒真珠を見つめ続けます。


どれくらい経ったでしょう。

静かに目を逸らし、彼は去っていきました。

沈み始めた太陽の光が、朱の混じった金色の毛を輝かせていました。

なんてキレイなイキモノだろうと目が離せず、逸る心臓で目眩を起こしそうになるのを堪えるのが精一杯でした。

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