第18話

 大日英帝国。

 日本とイギリスの国家結合。

 もとより日本とイギリスが急に接近していたことは周知の事実だった。

 しかし、まさか両国が国家結合するなんて誰が予想できただろうか……。

 

 ■■■■■

 

 マジか……。

 僕は大日英帝国建国へ向けた動きによって降って湧いた問題に頭を抱えていた。

 大日本帝国が抱える問題はほとんど解決した。

 昭和天皇陛下自ら動きなさったことで日本における権力争いは終結した。

 元々日本が抱えていた政治的問題を全て解決させたのだ。

 一度内閣を解散、軍部大臣現役武官制を廃止してシビリアンコントロールを徹底。共産党を禁止した後に再度選挙を行った。

 過激な思想を持ち合わせた軍人たちの処罰はすでに終えてある。

 完全に火種が消えたわけではないが、その影響力はほとんどなくなっただろう。

 昭和天皇陛下の命を狙う不届き者が出なかったのは良かった。

 ちなみに、再度行われた選挙で僕が首相に選ばれた。

 まぁ僕以外に務められる人がいなかったというのが理由だけど。

 でも、ここまでならいい。

 問題は日本とイギリスの国家結合のために進められてきた政略結婚だ。

 イギリス王室と天皇家の政略結婚。

 イギリス王室は丁度いい年齢の女性がいたからいいのだが……問題は天皇家側の方だ。

 未婚で丁度いい年齢の人物。

 それがいなかったのである。

 僕を除いて。

 僕は天皇家でもなんでもないが、明治天皇の隠し子ということになっている。

 そして、僕は未だ未婚。見た目は高校生のまま。

 実年齢は昭和天皇陛下よりも上だが、見た目上僕のほうが若い。

 丁度いい年齢で、天皇家であり、未婚の男性。

 それに合致するのは僕しかいなかった。

 イギリス王室の方から男性を出してくれたら嬉しいのだが……男性の方は丁度いい人がいなかったのである。

 もう僕が結婚するしかないような状況だった。

 ……それに、僕は小夜とお付き合いしていたんだけどなぁ。

 だが、受けいれるしかないだろう。ここで断ったら日本とイギリスの国家結合はおじゃんだ。

 彼女にどうわびたら良いのか。

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